著者
東元 一晃 大中原 研一 松山 航 有村 公良 納 光弘
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.6, pp.1149-1155, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
5

サプリメント・健康食品も間質性肺炎,好酸球性肺炎などさまざまな病型の肺障害を起こしうる.われわれが経験したアマメシバ関連閉塞性細気管支炎は当初原因不明の呼吸困難であったが,閉塞性換気障害と服用歴から診断された.薬剤性同様の機序が想定されるが,安全な成分でも濃縮された剤型で長期継続的に服用されることがその発症に関連すると考えられる.成人の6割がサプリメント・健康食品を服用しているともいわれ,詳細な問診が診断の一助となる.
著者
加藤 進昌 小野寺 節 毛利 資郎 岩城 徹 橋本 大彦 有村 公良
出版者
東京大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2001

本研究は、新変異型プリオン(PrPSc:スクレイピー型プリオン)が原因と考えられるヒト海綿状脳症(変異型Creutzfeldt-Jakob Disease : vCJD)および食物連鎖の上でvCJDの原因と考えられる牛海綿状脳症(BSE;より一般的で動物種を越えた名称としては、伝達性海綿状脳症Transmissible Spongiform Encephalopathy : TSEとも呼ばれる)について、諸外国の医療機関・政府機関における、1)感染予防対策、2)発症機序解明、発症予防、診断・検出方法の開発動向、および関連する基礎研究、3)発症者への対策、についての調査研究を目的とした。具体的にはスコットランドを中心に一時2万頭を越えるBSE牛が発見されたイギリス(エジンバラNCJDSU、ロンドン神経研究所)を中心に、vCJDが発見されたフランス(パリBioRad社、サルペトリエール病院)、イタリア(パレルモ大学、ローマ大学)、アイルランド(サーベイランスセンター)を歴訪し、各国での感染対策、汚染組織の処理や食品安全確保対策、診断方法開発の現状、さらにはヒトでの発症例の具体的な症状と、発見からマスコミ発表に至る事実経過などにわたって、詳細な調査を行った。それぞれの調査報告書をまとめ、一部は国内医学雑誌に小特集の形で報告した。また、フランスから専門家2名を招聘して、共同研究者を加えて2002年11月に東京大学において国際シンポジウムを開催した。わが国でも既に数頭のBSE牛が発見され、今後診断技術の普及によってその数が増えることが想定されている。肉骨粉での汚染はアジアでは更に深刻であるとの観測もあり、ヒトへの感染対策、食品安全確保対策の早急な整備が必要であることが痛感された
著者
有村 公良 高嶋 博
出版者
鹿児島大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺(thyrotoxic periodic paralysis: TPP)はアジア系の男性に多く、遺伝的背景が発症に関与していると考えられる。本年度は甲状腺中毒性周期性四肢麻痺(TPP)の新たな候補遺伝子の検討、その他の低K性周期性四肢麻痺(hypoKPP)の遺伝子検査と臨床所見の検討、および東南アジア各国との共同研究の推進を行った。(1)、本年度は従来TPPでは検討が行われていない、内向き整流性K+チャネルから5種類、KCNJ1、KCNJ5、KCNJ6、KCNJ11、KCNJ12を候補遺伝子とし、TPPの男性患者11名の末梢血DNAから蛋白コード領域をPCRで増幅後、塩基配列を調べた。その結果、KCNJ1遺伝子に1個、KCNJ5遺伝子に4個、KCNJ6遺伝子に2個、KCNJ11遺伝子に3個、KCNJ12遺伝子に7個の変異を認めたが、全てSNP databaseに登録済みの正常多型であり、病因となるような変異は認めなかった。TPPの原因遺伝子検索および異常多型の検出の目的で、Na+チャネル、Ca2+チャネル、K+チャネルを含むTPP専用のresequencing arrayの設計を行ったが、作成には800万円のコストが必要であり、今後は、本年度行ったように、従来の方法による原因候補遺伝子の同定を試み、それでも発見できない場合は、十分なDNAサンプルを収集後、市販のSNP arrayを用いて異常多型の検出を試みることとした。(2)TPP以外のhypoKPPの遺伝子検索で、本邦では弧発例が多く、かつ従来hypoKPPで報告されているチャネル遺伝子異常を認めない例が多数を占めた。特徴的なことはその全例が男性であり、TPPの臨床像と極めて類似していた。このことはTPPの病態を考える上で非常に重要かも知れない。(3)前年、アジア各国と共同研究を進めるべく、共同プロトコールを作成したが、現在そのプロトコールに従い、共同研究を推進中である。各国でのIRB申請の遅れのため、当初予定していたDNAサンプルの収集は果たせなかったが、今後も継続する。