著者
東元 一晃 大中原 研一 松山 航 有村 公良 納 光弘
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.6, pp.1149-1155, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
5

サプリメント・健康食品も間質性肺炎,好酸球性肺炎などさまざまな病型の肺障害を起こしうる.われわれが経験したアマメシバ関連閉塞性細気管支炎は当初原因不明の呼吸困難であったが,閉塞性換気障害と服用歴から診断された.薬剤性同様の機序が想定されるが,安全な成分でも濃縮された剤型で長期継続的に服用されることがその発症に関連すると考えられる.成人の6割がサプリメント・健康食品を服用しているともいわれ,詳細な問診が診断の一助となる.
著者
納 光弘
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.3, 2008

椎貝学会長から『この学会に全国から参集する医師・看護師の皆さん方に、あなたがこれまで実践してきた「医学する姿勢」、「未知の病気」にせまる姿勢、「医師・看護師」にとって基本となる姿勢について話してほしい』との依頼を受け、身に余る光栄と感動してお引き受けした。 タイトルは、夢を追い続けてきたこれまでの私の歩みを語る中から何かをお伝えできればと考え、『夢追って生きる』とさせていただいた。<BR> 私は、昨年3月、鹿児島大学を定年退職し、現在66歳になるので、24歳で医学部を卒業して以来、今日までの42年間の私の夢追いの歩みを語りたい。私が医学部を卒業した1966年当時は、学園紛争の火が全国で燃え広がっていた時期にあたり、私達同期生は、医療は如何にあるべきかという問題に、好むと好まざるに関わらず真剣に向き合いながら、毎日を過ごしたのであった。やがて、学園には百人を超える機動隊が常駐し、紛争は鎮圧されたが、あの時、『いい医療を提供する、いい医師になろう』と心に誓ったその思いは、その後の私の人生を導く灯明となってくれたように思う。3年間在籍した内科の医局を辞し、ECFMG(米国臨床研修資格試験)を取得し、米国でのレジデント研修先をさがした。その過程で、縁あって、聖路加国際病院のシニアレジデントの立場で研修する機会を得た。ここで、内科の日野原重明先生にお会いし、先生の医療に対する姿勢に心をうたれ、以後、日野原先生のような医療人になりたい、というのが私の人生の目標となった。先生の推薦のお陰で米国のアルバート・アインシュタイン メディカルセンターへの留学も決定し、星雲の志に燃えたのであったが、運命はそれを許してくれなかった。鹿児島の郷里で開業していた父親が脳卒中で倒れ、私は、留学を断念して、郷里に帰ることとなった。やがて、父親も診療を再開できるまでに回復し、私は再び自分の研修先を探さねばならなくなった。丁度、この時、鹿児島大学に新しい講座・第3内科が新設され、初代教授として井形昭弘先生が赴任して来られた。そして、縁あって、井形先生にお会いし、先生の医療に対する姿勢に感銘をうけ、弟子入りをお願いした。私の医療人としてのこれまでの人生を振り返って考えると、日野原重明先生ならびに井形昭弘先生との出会いにより、それぞれの生き様に感動し、それを目標に生きてきたように思う。このたびの講演では、私がお二人の何に感動し、何を学び、そして私の人生にそれをどの様に生かしてきたかについて具体的にお話しする。それに加えて、もう一つ、ぜひお話したいことがあり、私自身が病気で倒れた体験の中から、とても大切なことを学んだので、このことについても話したい。6年前、2002年8月末、私が鹿児島大学病院の病院長の時、過労で倒れ、入院を余儀なくされたのであった。病院長も辞し、将来の展望も見えないままでの入院生活を過ごす中で、これまでの人生を振り返り、自分を見つめなおし、4ヵ月後に退院してから後は、全くあたらしい生き方を模索しながら今日を迎えるに至っている。何を考え、どの様な生き方をしてきたかについても、この講演でぜひとも語りたいと考えている。これらの詳細は私のHP(納 光弘のキーワードで検索していただくと出てきます)にも掲載してあるのでご覧いただければと思う。
著者
井形 昭弘 園田 俊郎 佐藤 栄一 長瀧 重信 秋山 伸一 納 光弘
出版者
鹿児島大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1988

ヒト・レトロウイルスHTLV-Iによって脊髄症HAM(HTLV-I-associated myelopathy)がおこることが井形、納らにより報告され、この分野に大きな進展をもたらした。2か年にわたる本研究により、多くの貴重な成果を上げることが出来た。すなわち、このHAMの病態が大きく解明されると同時に、HTLV-Iに関連した他の臓器障害の可能性が浮かび上がってきた。HAMウイルスの分子生物学的検索により、HAMとATLのウイルスは変異株ではなく全く同一のウイルスであることが明かとなった。しかしHAMではキャリアに比較してはるかに多量のプロウイルスゲノムを末梢リンパ球中に保有しているという特徴が明かとなった。またHAMリンパ球はHTLV-I抗原刺激に対し高応答を示す。これらのことは、ホスト側の体質に関連しており、HAMとATLにはそれぞれ特有のハプロタイプを有することがわかった。HAMの病態機序に関連して、本邦で既に13例の剖検が行われ、この分析により更に詳細な病理像が明らかにされた。また、HAM患者髄液、末梢血リンパ球由来T細胞株が樹立された。一方、HAM患者の臨床像の分析の結果、肺胞炎、関節症、筋炎、シェグレン症候群、ブドウ膜炎の合併率が異常に多いことが明かとなった。これがはたして、HTLV-Iウイルスが直接おこしているのか、それともHAMに於て自己免疫疾患をおこしやすい状況があるのか、今後に課題を残したままであるが、重大な進展といえよう。治療に関しても、リンパ球除去術プラズマフェレ-シス、エリスロマイシン、ミゾリビン、α-インタ-フェロンなど有効な薬剤が明らかにされた。