著者
服部 征雄
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.159-169, 2012 (Released:2012-08-11)
参考文献数
80
被引用文献数
3

漢方薬は経口的に用いられるため,ヒト消化管内で腸内嫌気性菌によって代謝を受ける.特に配糖体は消化管上部では吸収されにくく,大腸まで輸送され,そこで代謝され薬効を現す例が多い.本総説では最近の腸内細菌によるanthraquinone化合物の瀉下活性物質への変換,C-配糖体やO-配糖体の開裂に関する研究報告に焦点をあて,最後に腸内細菌による主な漢方薬成分の代謝に関する研究一覧を示す.
著者
服部 征雄
出版者
富山医科薬科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

イリドイド配糖体のaucubinは腸内細菌とインキュベーションすると腸内細菌由来のβ-グルコシダーゼにより加水分解され、真正アグリコンであるaucubigeninの他、新規含窒素化合物であるaucubinine A,Bに変換されることを見いだした。腸内細菌のうちKlebsiella pneumonia,Bifidobacterium breve,Bifidobacterium pseudolongum,Peptostreptococcus intermedius and Bacteroides fragilisなどの菌種は特にこの含窒素化合物の生成が顕著であった。また、和漢薬の山梔子中に含まれる代表的イリドイド配糖体であるgeniposide,gardenosideも腸内細菌とインキュベーションすることによりそれぞれの真正アグリコンの他、genipinine,gardenineと命名した含窒素化合物を生成することが判明した。Genipinineの生成には、Peptostreptococcus anaerobius,Klebsiella pneumonia,Fusobacterium nucleatum,Bacteroides fragilis ssp.thetaotusなどの菌種が顕著な生成を示すことが判明した。これらの含窒素化合物の生成は、β-グルコシダーゼの作用により生成したアグリコンのヘミアセタール構造の開環、ジアルデヒド中間体とアンモニア、あるいはアンモニウムイオンとの反応により生成するシッフ塩基を経由するものと思われる。このように、イリドイド配糖体が腸内細菌の作用により、含窒素化合物に変換されることは、非常に興味あることであり、今後これらの新規化合物の薬効が明らかにされれば、和漢薬の薬効発現機構の解明に繋がるものと思われる。