著者
古田 亮 木島 隆康 薩摩 雅登 岡本 明子 下東 佳那 田中 圭子 黒田 和士
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

web上で全資料のリストを公開し、全資料を検索可能なデータベースを公開した。あわせて全資料の総目録を作成した。また本研究の成果発表として、2015年12月に東京藝術大学大学美術館展示室において、「藤田嗣治資料公開展示」を行い、資料群の中から、藤田の生涯を通覧できる写真資料を展示したほか、本資料に特徴的なものを特に選出し、展示した。また、観覧者の理解の助けとするためのリーフレットを作成し、展示室で配布した。藤田の日記などをもとに藤田の詳細な年譜を作成した。この年譜は2017年に刊行予定である。
著者
中井 泉 由井 宏治 阿部 善也 木島 隆康 星野 真人
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

色材の分析で最も信頼できる物質情報を与える、絵画分析に適した世界最先端のポータブル粉末X線回折計と、日本画の染料の分析に有用な光分析装置を開発した。その応用として小布施の北斎館に収蔵の葛飾北斎の浮世絵、男浪、女浪の実地分析を行って、色材の概要を明らかにし、成果はNHKでTV放映された。優れた回折計の開発により、ノルウエーのオスロ国立美術館に招待され、開発した回折計を用いて、世界的な名画、ムンクの「叫び」を分析しムンクが用いた色材について、重要な知見をえることができた。さらに放射光を使った絵画の透過イメージング法を開発し、大原美術館のマティスの絵を分析し、塗り込められた下絵を解き明かした。
著者
木島 隆康 桐野 文良 山梨 絵美子 林 洋子 上野 勝久 佐藤 一郎
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

迎賓館赤坂離宮(平成21年、国宝に指定される)は明治42年に建設され、わが国最大の面積を誇る天井画を持つ(15部屋)。天井画はカンバスに描かれた油彩画である。過去に大修復が行われているが、その後も劣化が進行し著しく損傷している。本研究プロジェクトは、天井画に生じた損傷と劣化原因を調査し、その損傷原因が過去の粗悪な設置環境と過去の不適切な修復処置、さらにカンバスが貼られた木摺に主な原因があることがわかった。さらに、天井画の由来はフランスで制作され輸入されたものであることを突きとめた。
著者
林 洋子 木島 隆康
出版者
京都造形芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

画家・藤田嗣治が、1920年のパリで国際的な名声を得た最大の理由に、彼が確立した「乳白色の下地」に、裸婦や静物を細く黒い輪郭線で描く独創的な技法が挙げられる。油性の地塗層に水性の墨で描く物理的な謎を生前の彼は秘密とし、死後も長らく詳細がわからなかった。本研究を通じて行われた、近年の作品修復成果の分析、技法再現、文献調査の照合によって、その秘密が「タルク(ケイ素とマグネシウムの水酸化物)」にあることが判明した。