著者
木本 克彦 星 憲幸 斉田 牧子 杉本 昌弘
出版者
神奈川歯科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、咬合咀嚼刺激と唾液成分との関連を明らかとするため、メタボローム解析を用いて、咬合咀嚼刺激による唾液中の代謝産物の変化を網羅的に解析した。その結果、臼歯部欠損患者群と残存患者群の唾液代謝産物を比較したところ、全部で137 のピーク値が同定され、主成分分析より2群間に代謝プロファイルの違いが認められた。また、臼歯部残存患者における安静時唾液群と刺激唾液群の比較を行ったところ、全部で116 の唾液代謝産物のピーク値が同定され、主成分分析より2群間にに代謝プロファイルの違いが認められた。以上の結果から、咬合咀嚼刺激が代謝産物レベルで唾液成分へ質的な変化を与えていることが示唆された。
著者
大野 晃教 木本 克彦
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.364-368, 2016

<p> 日本の高齢者人口が増加するにつれて,認知症患者は増加の一途を辿っている.認知症は記憶障害などの中核症状を呈する疾患で,患者本人のみならず患者家族の日常生活に多大な影響を与えるため,予防対策が必要とされている.近年,疫学調査や咀嚼不全モデルを用いた動物実験により咀嚼機能と脳機能,特に認知機能の関連性が注目されている.このようなことから本稿では,咀嚼と認知機能の関連性を調べるために我々がこれまでに行ってきた,脳内の神経伝達物質と活性酸素種の変化を調べた基礎研究とfMRIを用い補綴装置を装着したときの脳の賦活を観察した臨床研究を紹介する.</p>