著者
笠羽 康正 三澤 浩昭 土屋 史紀 笠原 禎也 井町 智彦 木村 智樹 加藤 雄人 熊本 篤志 小嶋 浩嗣 八木谷 聡 尾崎 光紀 石坂 圭吾 垰 千尋 三好 由純 阿部 琢美 Cecconi Baptiste 諸岡 倫子 Wahlund Jan-Erik JUICE-RPWI日本チーム
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.96-107, 2016

<p>欧州宇宙機関(ESA)木星探査機JUICEに搭載される電波・プラズマ波動観測器RPWI(Radio Plasma Wave Instruments)は,欧州チームにとり米土星探査機カッシーニ搭載のRPWS,日本チームにとり月探査機かぐや・ジオスペース探査衛星ERG・日欧水星探査機BepiColombo搭載の電波・プラズマ波動・レーダー観測器群からの発展展開となる.木星・衛星周回軌道への初投入となる低温電子・イオンおよびDC電場観測機能,電磁場三成分のプラズマ波動観測機能,電波の方向探知・偏波観測機能,および高度オンボード処理によるパッシブ表層・地下探査レーダー機能や波動-粒子相互作用検出機能の実現により,木星磁気圏の構造・ダイナミクスおよびガリレオ衛星群との相互作用,氷衛星の大気・電離圏および氷地殻・地下海へのアクセスを狙う.2016年7月に仙台で行なった「RPWIチーム会合」での最新状況を踏まえ,1970年代に遡る本チームの経緯・目標・展望を述べる.</p>
著者
木村 智樹
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

木星極域の周期的な高エネルギー粒子加速・オーロラ発光等との関連が示唆されている準周期的低周波電波バースト現象Quasi-Periodic burst(以下、QPバースト)は、木星極域磁気圏における周期的で強力な粒子加速過程の情報を反映する重要な現象だと考えられている。しかし、その周期性(数分、15分、40分変動)の決定要因・発生領域・発生機構等の詳細は長年不明であった。本研究では、それらの根源的物理過程を考え、極域における粒子加速過程解明を目標に研究を行った。まず研究代表者は、カッシーニ探査機の波動データに基づき、励起機構に密接に関連のある、電波の偏波特性や到来方向を解析した。その結果、QPバーストの励起機構や伝搬過程に、新しい観測的制約を与える事ができた。また、電波伝搬モデリングと木星の低・高緯度領域で得られた偏波観測結果を組み合わせ、QPバーストの放射源位置や伝搬モードについて議論した。その結果、同現象はある特定の放射源位置とモードをもって励起している事が示唆された。さらに、示唆された放射源位置において、観測や伝搬モデリングと整合する波動が励起される可能性を、波動励起の理論計算に基づいて検証を行った。その結果、極域における高エネルギー粒子によって、観測・モデリングと整合する電波が励起される事が実証された。上記研究結果に関して、国内外の複数の学会において発表を行った。また、上記研究に関連する研究結果が、学術誌(Journal of Geophysical Research誌)に採択された。