- 著者
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渡部 重十
小野 高幸
阿部 琢美
齋藤 昭則
大塚 雄一
山本 真行
- 出版者
- 北海道大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2006
スペースシャトル,宇宙ステーション,人工衛星が飛翔する高度100km以上の熱圏には,中性大気中に0.01%ほどのプラズマが混在している.プラズマは磁力線に束縛された運動をするため,中性大気とプラズマ間には無視できない運動量輸送が存在する.最近の衛星観測やモデリングは,中性大気の運動がプラズマの運動に強く依存していること,電磁場を介したプラズマの運動が中性大気の運動をコントロールしていること,熱圏中性大気の東向きスーパーローテーションがプラズマとの相互作用に起因している可能性があること,を明らかにした.しかし,中性大気とプラズマの運動を熱圏上部で同時に測定した例はない.平成19年9月2日19:25に宇宙航空研究開発機構/内之浦宇宙空間観測所からS520ロケットを打ち上げた.このロケットにリチウムガス放出装置とプラズマ・電磁場観測装置が搭載された.〜1000Kのリチウムガスを230km,190km,140km高度でロケットから放出した.リチウムガスによる太陽光の共鳴散乱を地上の多地点から観測し,上部熱圏風の高度分布を測定することに世界で初めて成功した.リチウムガスの拡散から大気温度と密度の高度分布を得ることにも成功した.中性大気の物理パラメータとロケットに搭載したプラズマ測定と比較することにより,中性大気とプラズマ間の相互作用過程を解明することが可能となる.本研究により,ロケットからのガス放出技術,高感度CCDカメラを用いた地上観測技術,画像解析による大気パラメータの導出技術,を確立することもできた.