- 著者
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三嶋 秀行
木村 研吾
池永 雅一
安井 昌義
内野 大倫
岩田 力
大橋 紀文
伊藤 暢宏
鈴村 和義
佐野 力
- 出版者
- 日本大腸肛門病学会
- 雑誌
- 日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
- 巻号頁・発行日
- vol.67, no.10, pp.897-905, 2014 (Released:2014-11-01)
- 参考文献数
- 5
切除不能大腸癌に対する化学療法は進歩し,3種類の殺細胞薬だけでなく,3種類の分子標的薬が使用できるようになった.生存期間中央値は2年まで延長したものの,未だに治癒を望むことは難しいので,化学療法の目的は,治癒ではなく延命である.抗VEGF抗体は単剤では効果がなく,殺細胞薬との併用により延命効果が期待できる.抗EGFR抗体にはバイオマーカーが存在し,RAS変異があると効果が期待できない.殺細胞薬と併用でも,単剤でも使用できる.FOLFOXとFOLFIRI,抗VEGF抗体と抗EGFR抗体どちらを選んでも効果に大差はないので,有害事象や腫瘍の状態に応じて選択する.注射のFUは効果を下げずに経口FUに置き換えることができる.重篤な有害事象の発生を好まない患者に対しては,支持療法だけでなく,分子標的薬をベースにすることや,用量調節により,QOLを維持した延命が可能になる.経口の分子標的薬レゴラフェニブの用量調節が困難な場合,titration法などを用いた工夫が必要になる.