著者
木村 美佳 守安 愛 牧迫 飛雄馬 井平 光 古名 丈人
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.11, pp.681-689, 2019-11-15 (Released:2019-11-26)
参考文献数
20

目的 食と運動の介護予防プログラムTAKE10!®を用いて,郵便を利用した通信型の介入を行い,集客型の介護予防教室で認められたような食習慣の変化が認められるかどうかを検証し,集客型の教室が開催できない地域や時期における本プログラムの活用について考察する。方法 北海道の積雪寒冷過疎地域3町村に在住の70歳以上の高齢者143人(平均年齢77.6±5.0歳,男性45人,女性98人)を郵便による通信型介入を5か月間行う介入群(72人)と行わない対照群(71人)に無作為に割付け,このうち,介入前後の調査会に出席し,質問紙を提出した介入群48人,対照群37人を解析対象者とし,介入前後の質問紙による調査(10の食品群の摂取頻度,Dietary Variety Score (DVS), Food Frequency Score (FFS))から食習慣を比較した。また,介入群を調理従事群と非従事群に分け,両群のDVS,FFSの変化を解析した。結果 介入群は介入前と比較して介入後に,9食品群の摂取頻度,DVS,FFSが有意に増加したが,対照群には有意な変化が認められず,2群間における交互作用が認められた。また,調理従事群,非従事群の両群においてDVS,FFSは介入前後で有意に増加した。結論 TAKE10!®プログラムは,通信型の介入が受け入れ可能な対象者において,集客型と同様な食習慣の変化ならびに,同一世帯内での共有を期待できると考えられ,集客型の教室が開催できない地域や時期においての活用は有効であると思われる。
著者
新宅 賀洋 千須和 直美 小橋 麻衣 田中 都子 木村 美佳 春木 敏
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.145-154, 2013 (Released:2013-07-09)
参考文献数
28
被引用文献数
2 2

【目的】A府B市C校区では,2010年度より開始された国土交通省の「高齢者等居住安定化推進事業」の支援を受け,運営されている地域レストランがある。レストラン調製弁当の喫食ならびに食と運動の健康講座参加と会食を通じて,食生活状況および高齢者の精神的・身体的健康の状況を把握し,地域レストランと連携した高齢者の食生活支援プログラムにおける介護予防の有用性を検討した。【方法】事前に研究趣旨を説明し同意の得られた男性19名・女性30名の高齢者(65歳~92歳)49名が,会食群22名(3食喫食/週,講座への参加と会食),配食群14名(弁当の配食,3食/週),対照群13名に分かれて10週間のプログラムに参加した。各群とも参加前・参加後・終了1ヵ月後に,老研式活動能力指標,主観的幸福感などの自記式による質問紙調査を行い,食事バランス管理・運動の自己管理にはTAKE10!を用いた。【結果】会食群ではプログラム参加後,主観的幸福感が有意に高くなり,食品の多様性を心がけている者は,主観的幸福感が高いことおよび食生活満足度に正の相関がみられた。【結論】高齢者に対する10週間の地域レストランを活用した食と運動の健康講座は,他者との交流や会食によって主観的幸福感が高くなるという精神的健康の改善を促し,高齢者の介護予防の一助となることが示唆された。