著者
新宅 賀洋 宮谷 秀一 岡田 真理子 甲田 光雄 奥田 豊子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C2)社会科学・生活科学 02 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.49-59, 2000-08
被引用文献数
2

低エネルギー, 低タンパク質の完全菜食がヒトの健康にどのような影響をおよぼすのかを検討した。対象はある医師の指導のもとで玄米, 野菜, 豆腐を中心とした完全菜食を45日間摂取したボランティア (菜食者) であった。完全菜食摂取前と摂取6週問後に食事調査, 体格, 体組成の測定, 血液検査などを行い, 非菜食者の成績と比較した。完全菜食の栄養学的な特徴は低エネルギー, 低タンパク質ではあるが, ビタミン, ミネラルや食物繊維を多量に摂取していたことである。完全菜食では摂取エネルギーの不足を, 体脂肪を燃焼させて補い, 体脂肪・体重が減少した。完全菜食の摂取脂肪酸組成は非菜食者のものと大きく異なり, 飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸の割合が少なく, リノール酸の割合が高かった。またn-6/n-3比も高くなっていた。しかし, 血漿脂質の脂肪酸組成は非菜食者と差が認あられなかった。血液性状からみて低栄養状態, 貧血症状は認あられなかった。以上の結果より完全菜食は低エネルギー, 低タンパク質の食事で, 摂取脂肪酸組成も大きく異なっているが, 脂肪酸代謝に大きな影響を与えず, 生理学的な面での問題点は認められなかった。
著者
新宅 賀洋 原田 理恵 永藤 清子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.401-407, 2009 (Released:2011-10-12)
参考文献数
16
被引用文献数
1

The "Fundamental Law of Food and Nurture" was passed in 2005 and shows the importance of considering regional foods and the culture of dietary habits. Our interest is how to promote food education that adopts regional foods in traditional dishes and in cultivating dietary habits. The history of cultivating strawberries in the Naruo region and the changes in strawberry cultivars was therefore studied. Strawberry production grew from the Taisyo to Showa eras in the Naruo region as a subsidiary farming business. Strawberries were recognized as an indispensable seasonal food for residents in the surrounding areas. The kind of strawberry produced in Naruo is specified and there is a growth plan for the future. We will further study documents on how strawberries were eaten and how strawberry products were made in the Taisho era.
著者
新宅 賀洋 千須和 直美 小橋 麻衣 田中 都子 木村 美佳 春木 敏
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.145-154, 2013 (Released:2013-07-09)
参考文献数
28
被引用文献数
2 2

【目的】A府B市C校区では,2010年度より開始された国土交通省の「高齢者等居住安定化推進事業」の支援を受け,運営されている地域レストランがある。レストラン調製弁当の喫食ならびに食と運動の健康講座参加と会食を通じて,食生活状況および高齢者の精神的・身体的健康の状況を把握し,地域レストランと連携した高齢者の食生活支援プログラムにおける介護予防の有用性を検討した。【方法】事前に研究趣旨を説明し同意の得られた男性19名・女性30名の高齢者(65歳~92歳)49名が,会食群22名(3食喫食/週,講座への参加と会食),配食群14名(弁当の配食,3食/週),対照群13名に分かれて10週間のプログラムに参加した。各群とも参加前・参加後・終了1ヵ月後に,老研式活動能力指標,主観的幸福感などの自記式による質問紙調査を行い,食事バランス管理・運動の自己管理にはTAKE10!を用いた。【結果】会食群ではプログラム参加後,主観的幸福感が有意に高くなり,食品の多様性を心がけている者は,主観的幸福感が高いことおよび食生活満足度に正の相関がみられた。【結論】高齢者に対する10週間の地域レストランを活用した食と運動の健康講座は,他者との交流や会食によって主観的幸福感が高くなるという精神的健康の改善を促し,高齢者の介護予防の一助となることが示唆された。