著者
春木 敏
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 = Journal for the integrated study of dietary habits (ISSN:18812368)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.281-287, 2007-03-30
参考文献数
35
被引用文献数
1

&nbsp;&nbsp;After the implementation of the Fundamental Law of Nutrition Education, specific items for &ldquo;instruction in nutrition&rdquo; were incorporated in school education; this was the beginning of health and nutrition education in schools. Reports on the eating habits of youth indicate that they have an unbalanced diet; they prefer western food and dislike vegetables. They are unhealthy because they eat irregularly, i.e., they skip breakfast, or eat alone. It has been confirmed that eating breakfast is related to sleep and wake-up times, appetite in the morning, attitude toward the importance of breakfast, self-esteem, social skills, and good nutrition behavior among family members.<BR>&nbsp;&nbsp;Life skills that according to the WHO are an essential part of the health education of young people can build self-esteem. The life skills comprise: decision-making skills that involve the ability to identify problems, obtain information, and predict results; goal-setting skills that involve the ability to set an attainable goal, achieve and practice it; communication skills; and stress-management skills.<BR>&nbsp;&nbsp;We developed and popularize a Life skills-based nutrition education program for children. The aim of this program was to modify the unhealthy eating behavior of skipping breakfast and consuming unhealthy snacks. Children are taught to prepare snacks by themselves and plan a healthy breakfast; they are also taught to brainstorm, role-play, and case studies in order to gain and strengthen their life skills. Thus, the children develop healthy behavior through repetitive training and can learn to solve problems by themselves in real life. It is believed that this learning helps children strengthen their self-efficacy by teaching them to find solutions by themselves to problems. Working together also helps children develop bonds with their team-mates by recognizing each other's positive attributes and abilities and then they form positive self-concept.
著者
金田 直子 春木 敏 子安 愛 大畑 千弦 鍛冶 晃子 太田 愛美 髙塚 安紀穂 西岡 愛梨 永樂 芳 平田 庸子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

早期食健康教育に向け,4・5歳児と保護者を対象とする食育プログラムを幼稚園教諭らと協同開発し,2度のプログラム実践を踏まえ有用性・汎用性を確認し,食育支援キット(食育案・教材・参考資料)を作成した.食育支援キット普及に向け,幼稚園教諭・保育士らを対象に食育研修を実施しO市内幼稚園・保育所園420施設(70%)に配布した.園・家庭・地域を結ぶ幼児食育に向け,養育者を対象とするメタボリックシンドローム予防を視野に入れた家族ぐるみの食育講座を併せて実施・評価をしたところ,日々の食生活改善につながることが確認された.家族ぐるみの幼児食育推進は,少子高齢化の進むわが国における食・健康づくりの一法となる.
著者
新宅 賀洋 千須和 直美 小橋 麻衣 田中 都子 木村 美佳 春木 敏
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.145-154, 2013 (Released:2013-07-09)
参考文献数
28
被引用文献数
2 2

【目的】A府B市C校区では,2010年度より開始された国土交通省の「高齢者等居住安定化推進事業」の支援を受け,運営されている地域レストランがある。レストラン調製弁当の喫食ならびに食と運動の健康講座参加と会食を通じて,食生活状況および高齢者の精神的・身体的健康の状況を把握し,地域レストランと連携した高齢者の食生活支援プログラムにおける介護予防の有用性を検討した。【方法】事前に研究趣旨を説明し同意の得られた男性19名・女性30名の高齢者(65歳~92歳)49名が,会食群22名(3食喫食/週,講座への参加と会食),配食群14名(弁当の配食,3食/週),対照群13名に分かれて10週間のプログラムに参加した。各群とも参加前・参加後・終了1ヵ月後に,老研式活動能力指標,主観的幸福感などの自記式による質問紙調査を行い,食事バランス管理・運動の自己管理にはTAKE10!を用いた。【結果】会食群ではプログラム参加後,主観的幸福感が有意に高くなり,食品の多様性を心がけている者は,主観的幸福感が高いことおよび食生活満足度に正の相関がみられた。【結論】高齢者に対する10週間の地域レストランを活用した食と運動の健康講座は,他者との交流や会食によって主観的幸福感が高くなるという精神的健康の改善を促し,高齢者の介護予防の一助となることが示唆された。
著者
坂本 達昭 春木 敏 吉本 優子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.67-75, 2013 (Released:2013-05-23)
参考文献数
22

【目的】教科学習における食に関する指導の進め方について解説したWeb教材「先生のための食育教室」を開発し,その利用可能性を検討した。【方法】大阪府下の小学校でチームティーチング形式により実施された教科学習における食に関する指導について解説したWeb教材を開発し,教諭・栄養教諭および栄養教諭免許取得をめざす学生の視聴により評価を試みた。評価アンケートは,①画面レイアウト,操作性等の技術面,②学習意欲を高めるためのARCSモデルによる注意,関連性,自信,満足感の4項目,③教材としての有用性の側面についてたずねた。併せて自由記述による意見を求めた。【結果】教諭19人,栄養教諭12人,学生84人がアンケートに回答した。技術面およびARCSモデルの4項目に関する問いに,教諭・栄養教諭および学生は,それぞれ80%以上が肯定的に回答した。教材の有用性に関して「教科学習における食に関する指導を実施するために役立つ」という問いに教諭・栄養教諭の77.4%が「そう思う」と回答した。「教科学習における食に関する指導の進め方について知ることができた」という問いに学生の96.4%が肯定的に評価した。他方,自由記述による意見からスライド送りやナレーションの速さ等の改善点が挙げられた。【結論】評価結果から当教材は,教諭・栄養教諭ならびに栄養教諭をめざす学生向けの教材として利用可能であることが示唆された。
著者
坂本 達昭 八竹 美輝 春木 敏
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.76-85, 2013 (Released:2013-05-23)
参考文献数
26
被引用文献数
2 2

【目的】担任教諭を主体とした4学年社会科および総合的な学習の時間における食に関する指導を実施し,その実施可能性と学習成果を検討した。【方法】2012年6月から7月に,大阪府下の公立小学校4学年児童106名を対象として,社会科「くらしとごみ」および総合的な学習の時間「環境について考えよう」における食に関する指導を実施した。社会科および総合的な学習の時間のねらいに加え,食べ物を大切にする態度を形成し,残さず食べる自己効力感を高め,給食を残さず食べる行動形成をねらいとした。前後比較デザインにて実施し,授業時の児童のワークシート記述内容および学習前(5月),学習直後(7月),学習終了2ヵ月後(9月)に実施したアンケート,残さず食べる行動形成の指標とした給食の月間残食率から学習成果を検討した。【結果】ワークシート記述には,残さず食べようとする意欲や,給食を残さず食べる行動形成に至った記述が多くみられた。アンケート結果より,嫌いな食べ物がある時でも残さず食べる自己効力感は,学習直後,学習終了2ヵ月後に有意に向上した。学習前の残食率に比べ,学習期間(6・7月),学習終了2ヵ月後(9月)の残食率は低値を示した。【結論】栄養教諭配置校において本研究の授業は実施可能であり,学習により児童は残さず食べる自己効力感を高め,残さず食べる行動形成を経て,学習後も給食を残さず食べる行動を維持した。
著者
春木 敏 川畑 徹朗 西岡 伸紀 境田 靖子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

ライフスキル形成を強化する第二次の食生活教育プログラム改訂,指導者マニュアル作成,授業担当者研修,意志決定スキル,目標設定スキル尺度開発,家族への働きかけを試み,以下の成果を得た.I.2005年6月〜2006年7月,大阪府下の6小学校と山口県2小学校を研究対象校とする準実験デザインのもと,健康的な間食行動と朝食行動を主題とするスキル形成に焦点をあてた食生活教育プログラム(18時間)を実施し,計810名が参加した.(i)プロセス評価より,意志決定の下位尺度「選択肢の列挙」「結果の予測」を踏まえたおやつ選択法を,「意志決定をすべき問題の明確化」を踏まえ,朝食で野菜を食べるために具体的な,実行可能な目標設定ができた.(ii)影響評価より,女子は,健康的な間食行動の態度,自己効力感が高まり,低油脂おやつの選択が増加した.野菜摂取に焦点をあてた朝食学習により,朝食の野菜摂取率はおよそ倍増し,栄養バランスを改善した.(iii)意志決定スキル形成群において介入校の児童は,広告分析に関する自己効力感や食品選択スキルに有意な成果が認められたが,対照校児童には規則性はみられなかった.II.大阪府下の3小学校と山口県3小学校を研究対象校とし,2007年5月〜7月に,保護者通信,朝食モニタリングシートの家族点検,家庭での朝食野菜料理など保護者への働きかけを強化した朝食プログラム(6時間)を実施した.計417名が参加した.(i)全児童は,目標達成率,朝食の栄養バランスともに有意に高くなった.(ii)授業実施6カ月後には,児童の学習成果は有意に低下したものの家族強化群は,対照群に比べ,朝食得点,野菜摂取率ともにやや高い維持率を示した.さらにプログラム効果を高め,持続するために,教材や指導者研修,家族強化の改善を図り,学校健康教育に普及していく.