著者
木村 道徳 河瀬 玲奈 金 再奎 岩見 麻子 馬場 健司
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.213-226, 2022-07-31 (Released:2022-07-31)
参考文献数
29

本研究では,行政によるヒアリングやワークショップなどの質的調査を通じて蓄積されている,気候変動に対する影響の実感や不安に関するテキストデータを対象に,市民およびステークホルダーの影響認識を構造的に把握するための手法を検討するとともに,滋賀県を対象に実践を行った。気候変動適応策の推進には,市民と地域のステークホルダーの関与が重要であり,行政によるこれら主体の気候変動影響の認識の把握が必要になると考えられる。しかし,行政により蓄積が進められている気候変動影響の認識に関する情報は,自然言語で記述されているテキストデータが多く,これまで研究対象として分析が進められてはこなかった。本研究では,行政による質的調査を通じて,滋賀県内の市民および農林水産業,産業分野の主体から得られた気候変動影響の認識に関するテキストデータを対象に,テキストマイニング手法を適用した。その結果,「琵琶湖と自然生態系への影響」と「台風被害と獣害,水稲」,「降雨降雪の極端化による災害および森林と林業への影響」,「夏と冬における気温上昇の影響」,「季節の変化」の5つの話題を特定することができた。また,対象者属性とのクロス集計の結果,市民は幅広い分野に言及しているのに対して,農林水産業の主体は各分野の具体的な気候変動影響の因果連鎖についての情報を補完していた。各主体のテキストを組み合わせることで,地域で顕在化しつつある気候の変化とそれに伴う影響の因果連鎖を市民およびステークホルダーがどのように認識しているのか,詳細に把握することが可能になることがわかった。
著者
熊澤 輝一 木村 道徳 鎌谷 かおる 岩見 麻子 坂下 靖子 原田 将
出版者
総合地球環境学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-10-21

本研究では、地域の将来設計において、環境共生社会とそこに至るストーリーを共同構築する手法を導入し、オントロジー工学の技術を援用しながら共同構築する新たな手法を開発することを目的とした。その結果、第一に、現地調査と伝統食材、古写真、未来年表のWSを通して、それぞれの環境共生に向けた地域のパタンを得た。第二に、環境・サステイナビリティ領域のオントロジーの拡充とともに、地域ストーリーの因果論理を記述するためのツールを開発した。第三に、地域のパタン同士をオントロジーを介して連携させて個別ストーリーを統合する手法を検証し、地域のパタンを作成して物語ることによる共同構築手法として提示した。
著者
木村 道徳 熊澤 輝一 岩見 麻子 松井 孝典
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.29(第29回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.55-60, 2015-11-25 (Released:2015-11-25)
参考文献数
13

地域活性化やまちづくりにおいては,地域資源を有効に活用するために,地域住民と地域資源のこれまでのかかわりを把握する必要がある。本研究では,滋賀県高島市を対象に,森林資源を活用する団体に対して半構造化インタビューを実施し,記録したテキストデータを,自己組織化マップ手法と対応分析を用いて可視化することを試みた。その結果,各団体が持つ関心テーマを特定することができ,活動内容などによって関心テーマが異なることがわかった。