著者
倉恒 弘彦 近藤 一博 生田 和良 山西 弘一 渡辺 恭良 木谷 照夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.90, no.12, pp.2431-2437, 2001-12-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5
被引用文献数
1

慢性疲労症候群とは,原因不明の激しい全身倦怠感と共に微熱,頭痛,リンパ節腫脹,脱力感,関節痛,思考力の低下,抑うつ症状,睡眠異常などが続くため,健全な社会生活が送れなくなるという病気である.化学的,生物学的,社会心理的なストレスが誘因となって引き起こされた神経・内分泌・免疫系の変調に基づく病態と思われるが,潜伏感染ウイルスの再活性化やサイトカインの産生異常などが深くかかわっている.
著者
木谷 照夫 水木 満佐央 田川 進一 倉垣 弘彦
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

慢性疲労症候群(CFS)は、その特異な病態から近年強い注目を集め、社会的にも関心の深い疾患である。本疾患の病因については様々な説が提唱されているが未だ明らかでない。我々は細胞のエネルギー供給の代謝系において極めて重要な役割をはたしているカルニチンを測定したところ、血中の遊離カルニチンは正常ながら、アシルカルニチン値が大部分の症例で有意に低下していることを見い出した。尿中排泄増加はなく、ミトコンドリアにおける脂肪酸酸化を中心とした代謝系の何らかの異常が想定され、疲労を中心としたCFSの症状との関連が示唆された。また、カルニチン正常,アシルカルニチン低下という病態は現在までに数例の先天性異常例以外には知られておらず、検査法としての診断的意義も大きい。ともあれCFSでは生体代謝に関して生化学的に異常が見られたのは本物質が初めてである。これまでCFSで臨床検査異常や生化学的代謝物質の異常が見られないことより心因的機能的病態とする見解も少なくなかったが、我々の成績は器質的病変であることを強く示唆し、世界に大きなインパクトを与えた。本研究は、CFSにおけるアシルカルニチン減少のメカニズムを明らかにすることをめざすとともに、細胞レベルでのアシルカルニチンの作用やその代謝について下記の点について検討したものである。1)サイトカインとアシルカルニチンとの関連についてア)インターフェロンとの関連イ)TNFとの関連2)内在性アシルカルニチンの生理的意義についてア)絶食による変化イ)絶食後再節食による変化ウ)糖負荷による変化エ)糖負荷にともなうアシルカルニチンの動的変化の解析3)細胞内アシルカルニチンの測定4)治療の試み