著者
田路 秀樹 末井 健作 金子 公宥
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.439-446, 1995-08-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
33
被引用文献数
2 1

肘屈筋群の力-速度関係とパワーに及ぼす複合トレーニングの効果を知るため, 一般男子大学生18名を次の3群に分け, 週3日, 11週間のトレーニングを行った.すなわちトレーニング群は, 1) 最大筋力の30%負荷 (30%P0) で最大パワーを発揮する単一トレーニング群 (G30群) , 2) 最大パワーの発揮に加え, 無負荷 (0%P0) で最大速度を発揮する複合トレーニング群 (G30+0群) , 3) 最大パワーの発揮に加え, 最大筋力 (100%P0) を発揮する複合トレーニング群 (G30+100群) の3群とし, 次の結果を得た.1.最大パワーの増加はG30+100群で最も著しく, 次いでG30+0群, G30群の順となり, それらすべてが統計的に有意な増加であった.また, G30+100群とG30+0群の増加量間に有意差が認められた.2.最大筋力の増加はG30+100群で最も著しく, 次いでG30群, G30+0群の順で, 上位2群の増加に有意性が見られた.またG30+100群とG30群の増加量間に有意差が認められた.3.最大速度はすべての群で有意に増加したが, 各群の増加量間には有意差が認められなかった.以上の結果から, パワー・トレーニングにおいて, 筋力強化を加えた複合トレーニングは, 単一負荷のトレーニングと同様に優れた効果を発揮するとともに, スピードを重視した複合トレーニングよりも効果的であることが示唆された.