著者
宮崎 拓弥 本山 宏希 菱谷 晋介
出版者
日本イメージ心理学会
雑誌
イメージ心理学研究 (ISSN:13491903)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.48-59, 2003
被引用文献数
1

本研究では,名詞,および形容語(形容詞・形容動詞)の感情刺激としての標準化データを提供することを目的とし,快─不快の次元について標準化を行った.Bradley and Lang(1999),Brown and Ure(1969),Rubin and Friendly(1986)をもとに,263 項目が選定された名詞の標準化データは,源泉となったそれぞれの調査データとの間に評定値,順位ともにかなり高い一致が見られた.他方,126 項目からなる形容語の標準化データは,対象が形容詞,形容動詞の2品詞に限定されているため,名詞句や動詞句といった様々な表現が混在したデータとは異なり,語彙決定課題や単語同定課題などの実験場面で容易に利用が可能となるデータが得られた.The purpose of this study was to obtain normative data on the positive-negative dimension of emotional nouns and epithets (adjectives and adjective verbs). We obtained data on 263 nouns that were selected on the basis of studies by Bradley and Lang (1999), Brown and Ure (1969), and Rubin and Friendly (1986). Both rating scale values and rankings of these nouns were highly correlated with the statistics of the original studies. Data on 126 epithets differed from previous studies because they were constructed from only two parts of speech. The information resulting from this study allows easier experimental control in the selection of emotional stimuli, especially in lexical decision tasks and word identification tasks.Key words: emotional value, noun, epithet, positive-negative dimension.
著者
本山 宏希 宮崎 拓弥 菱谷 晋介
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.119-129, 2008-02-29 (Released:2010-07-21)
参考文献数
38
被引用文献数
1 1

本研究では,イメージを形成すると視覚的な情報だけでなく感情的な情報も喚起されるか否かを,感情プライミングの手法を用いて検討した.実験の結果,イメージを形成する際に視覚情報の喚起のみを促し,感情情報の処理には一切言及しない教示下においても,その後の語彙性判断課題にイメージ対象の感情的側面の影響が見られた.このような結果は,絵的なイメージの形成を促した条件では見られるが,提示された文字パターンをそのまま保持させる条件では見られなかった.これらの結果から,絵的なイメージの形成によって感情情報は常に喚起されること,またそれは文字認知により生じる感情とは異なることが示唆された.