著者
渡邊 絵都子 吉岡 純希 吉野 友美 本田 真美
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.319, 2018

はじめにデジタル・ホスピタル・アートとは患者や医療者のニーズに合わせたデジタルアートの実践によりケアの支援を目指すものである。背景当クリニックでは、一般診療・発達専門外来などに加え、重症心身障害児の日中ショートステイを実施している。その活動の一部で個々のニーズに合わせたデジタルアートの実践を行っている。方法方法1:楽器の音によってプロジェクションマッピングされた映像が反応したり、児童が選んだカードの模様が投影されることを実施した。方法2:カード型のRFIDを利用し、近づける動作に伴い音やキャラクターが出てくるデジタルアートを実施した。結果症例1:クリスマスイベントとして実施し、児童のプロジェクションマッピングへの注目は高く、カードの選択では首を振ったり、視線を背け明確な意思を示した。症例2:カード型のRFIDによって反応する因果関係は理解し、自分好みの反応を何度も繰り返し楽しむ様子と周囲に共感を求める場面がみられた。症例3:RFIDのカードを保持できない児童には指に引っかけ、上肢を能動的に動かせるよう環境設定することで介助なく、何度も上肢を動かす様子がみられた。まとめ重症心身障害児(者)の多くは、非言語コミュニケーションを使っているが、自身で明確な意思を表出したり、身体的に行動することが難しいことから、受け身的な活動やコミュニケーションになりやすい。自己決定・自己選択がなされるかは、本人の動機を満たすためのどのような選択肢があり、どのようにしてその中から選択をし、選択を行った結果、どのようなことが引き続き起こり、その変化が、自分にとってどのような意味を持つかによって左右される。個々に合わせたデジタルアートを提案することで、自分で操作し、相互が共感し合う活動場面を設定する中に、コミュニケーション行動が発達する重要な要素が期待される。
著者
本田 真大 大島 由之 新井 邦二郎
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.336-348, 2009 (Released:2012-02-29)
参考文献数
23
被引用文献数
11 3

本研究の目的は集団社会的スキル訓練(以下, CSST)が不適応状態にある生徒に与える効果を検討することであった。訓練対象は6学級の生徒228名であった。ターゲットスキルを決定するにあたり, 教師と生徒にニーズ調査を行い, その結果を生徒対象のオリエンテーションでフィードバックした。ターゲットスキルは「上手な聴き方」と「心があたたかくなる言葉」であり, それぞれ授業(50分)で1回ずつ, 合計2回の訓練が行われた。効果の検討にはターゲットスキルの自己評定, 教師評定, 仲間評定を用いた。分散分析で効果を検討した結果, 不適応状態にある生徒の仲間評定のスキル得点と仲間からの受容得点が増加した。3年生では仲間評定のスキル得点に加えて自己評定のスキル得点も一部増加したが, 教師評定のスキル得点は一部低下した。これらの結果から, ターゲットスキルの決定に生徒のニーズを考慮する実践の有効性, 不適応生徒に対するCSSTの効果の限界, 評定者間の結果の違いに関して考察され, 中学校でCSSTをより効果的に行うための方法が提案された。
著者
本田 真広 岡村 宏 井上 健 前川 剛志
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.717-722, 2014

症例は80歳の女性。畑作業中に土手から3m下の川に転落し,呼吸苦と左胸痛を訴え救急搬入された。来院時,左気胸と肺挫傷による低酸素血症を認め,胸腔ドレナージの後に人工呼吸管理とした。誤嚥による呼吸器感染症が懸念されたため,抗菌薬はsulbactam/ampicillin(SBT/ABPC)を投与した。第3病日に急激に肺炎が重症化し,DICおよび敗血症性ショックに陥った。同日,喀痰からグラム陰性桿菌が検出され,<i>Aeromonas</i>属が最も疑われるとの報告を細菌検査室より受けた。抗菌薬をmeropenem(MEPM)およびciprofloxacin(CPFX)に変更し,第5病日にはショックから離脱することができた。覚醒後の詳細な問診の結果,崖下の川に顔をつけ河川水を誤嚥していたことが判明し,第5病日の喀痰培養で<i>Aeromonas hydrophila</i> 3+(Geckler 5)が確定した。人工呼吸器からの離脱に難渋したが,第23病日に抜管し,第63病日に転科となった。河川水誤嚥による劇症型肺炎の際には<i>Aeromonas</i>属感染の発症も念頭に置き,fluoroquinoloneおよびcarbapenemの投与を検討すべきである。
著者
本田 真望
巻号頁・発行日
2005

第1章 序言 1.1 研究の背景 有史以来,人間は都市に生活し,経済・文化を初めとするさまざまな活動を行ってきた.産業革命以降,経済が世界的規模で進展し,既成の都市への人口の集中と都市の拡大や周辺への拡散などによって都市という形態で暮らす人口も都市の数も大幅に増加を続け,今日に至っている[都教87].つまり現在,生活と経済・文化等の諸活動の大部分が都市を舞台として展開される時代であり ...