著者
沢崎 健太 木下 藤寿 平野 修 末藤 俊寿 本田 達朗 茂原 治 向野 義人
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.492-499, 2001-08-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
5
被引用文献数
3 5

企業内労働者における運動器症状への経絡テストを用いた鍼治療の効果と医療費との関連性があるかを鉄材の移動、組立、溶接作業などの動作を繰り返し行う肉体労働職を主体とした有痛者117名を対象として検討した。8週間の治療で痛みが半減した者は頚肩部痛で83%、腰痛で77%、膝痛で88%に達した。心理検査 (POMS) では緊張、抑鬱、怒り、疲労、情緒混乱のスコアが有意に減少した。鍼治療期には運動器疾患の受診は半減し、その健康保険医療費は約1/3となった。終了後も医療費減少は持続し、経絡テストを用いた鍼治療は健康づくりならびに医療費削減に有用と考えられた。
著者
本田 達朗 金原 正幸 酒井 梨名 張 文平 西村 甲 浦田 繁
出版者
The Japan Society of Acupuncture and Moxibustion
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.104-112, 2014

【目的】労働で繰り返しの使用により発生したと思われる左肘と左膝の疼痛に対して、M-Testで身体動作をチェックし、動きの制限を改善させる1回の鍼治療で5ヵ月間継続した症状が奏効したので報告する。<BR>【症例】50歳、女性。主訴:左肘内側痛、左膝内側痛。現病歴:2013年7月下旬頃から職場で食用油の一斗缶(18リットルの油)の上げ下げを頻繁に行っていた。同年12月に左肘、左膝の痛みが強くなったため本大学附属鍼灸センターを受診した。仕事で重い物を持ち上げることを繰り返したことが原因の軟部組織疼痛と思われる症例である。<BR> この患者に対して、M-Testを用いて身体上の制限動作をチェックした。制限動作から治療すべき経絡、経穴が導き出され治療を行った。患者の労働での具体的な動作は、左手は一斗缶の金具に指を引っかけ、手関節と肘関節は軽く屈曲させ持ち上げるものであった。また、食用油を鍋に注ぐ際に左手関節は背屈させ、缶を支えていた。M-Testの結果から、(1)左肘関節屈曲・伸展、(2)左肩関節伸展、(3)左股関節内旋・外旋動作の制限動作は労働における動作と関連性があると思われたため、これらをターゲットモーションに設定しM-Test理論に基づく鍼治療を行った。<BR>【経過】初診治療前と再診治療前のVisual Analog Scale (VAS)を比較すると、左肘が90mm→18mm、左膝は80mm→15mm (初診時前→再診時前) でいずれも症状は劇的に改善した。<BR>【考察】M-Testで判明した制限動作は身体上の異常箇所や治療経穴を特定でき、鍼刺激により身体の動きが改善したとともに動作時痛が改善した可能性がある。
著者
岩 昌宏 浦田 繁 小野 直哉 近藤 史生 沢崎 健太 本田 達朗 堀 紀子 矢野 忠 川喜田 健司
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.65-71, 2004-02-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

我国において鍼灸の経済評価に関する研究はほとんどなされていない。そこで鍼灸の経済評価に関する研究方法を確立するために、そのモデルケースとして、「職場 (企業) における鍼治療の経済評価に関する研究」を紹介するとともに、今後の経済評価を加えた鍼灸研究の方向性について考察した。本稿ではモデルケース2例の研究内容の詳細と経済評価を行う際の重要ポイントについて紹介する。