著者
杉本 真理子 Mariko SUGIMOTO
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2011
巻号頁・発行日
2011-11-30

この報告は、2010年10月17日~27日まで、神戸市のギャラリーにて開催された「OTOME展」についてのものである。「おとめ」とは何か、ただ単に「女性」や「少女」をテーマにしただけのイラスト展ではなく、インターネットのない時代から現代まで「カルチャーの原点は雑誌である」という仮説のもと、日本で最初の「少女まんが」は何か、少女まんがに影響された「叙情画」とは何か、昭和初期と現在の少女の文化はどう変化していったかということと、サブカルチャーの今までのあり方、さらにこれからのあり方を想定し、社会的背景や、ジェンダーの問題がどのように少女文化に影響を与えたのか、などの問題をふまえた上で、現在流行している「タレント本」から、細分化された「まんが」「ゲーム」「ライトノベル」などに登場するキャラクターの変化や、また別の切り口として「少女まんがは異端の文化」である事を理論付け、男性から見た現代の「OTOME」の姿と、女性から見た原点の「OTOME」の像を、イラストという形態でアウトプットし、展示した時に生じる何らかの差異が表面化できるかどうか試みたのが、今回の主旨でもある。
著者
多田 由美 杉本 真理子 泉 政文 綱島 夢美 萩原 こまき Yumi TADA Mariko SUGIMOTO Masafumi IZUMI Yumi TSUNASHIMA Komaki HAGIWARA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2013
巻号頁・発行日
2013-11-25

まんが表現における作画技術教育の前提として必要なのは、まんが表現史的な視点である。手塚治虫系のキャラクター表現に関しては、田河水泡とディズニーの作画方法を構成主義的に解釈した「ミッキーの書式」に基づくことが指摘されているが、本報告では少女まんが領域における「ミュシャの書式」(すなわちヨーロッパの19世紀末から、アール・ヌーヴォー、アール・デコなどの挿絵や広告画の援用・解釈に基づく「書式」)の所在について仮説的に述べる。1901年、与謝野晶子『みだれ髪』の表紙に藤島武二がミュシャふうの意匠を採用し、近代女性文学における「私」と「ミュシャ」的表象が結びつく。そして1970年代に少女まんが領域で「内面の発見」がなされた時、それを主導したいわゆる「24年組」によって再度「ミュシャの書式」が再受容された。「ミュシャの書式」は一見、キャラクター的、非歴史的に見えながら、日本近代の少女まんがを含む女性表現では近代的自我や身体性、政治性を包摂しうる表象として出発し、「24年組」の背後にある近代史的文脈を理解することはまんが教育として重要である。Perspectives based on knowledge of the history of manga expressions are essential for learning manga drawing techniques. It has been pointed out, for instance, that manga characters in the Osamu Tezuka vein are based on the "Mickey's format" which was a Constructivist reinterpretation of the drawing methods of Suiho Tagawa and Walt Disney. This report discusses the hypothesis that an "Alphonse Mucha format" (based on the influences and reinterpretations of Art Nouveau, Art Deco and other late-19th century illustrations and advertising art) exists within the shojo manga genre. In 1901, Takeji Fujishima adopted a Mucha-esque design for the cover of Midaregami (Tangled Hair) by Akiko Yosano, bringing together for the first time the Mucha-like image and the "notion of self" in modern Japanese women's literature. In the 1970s the Alphonse Mucha format was adopted again, this time by the Year 24 Group of shojo manga artists, who spearheaded the "exploration of the inner self" in shojo manga stories. At first glance the Alphonse Mucha format seems ahistorical and to concern only the external appearance of manga characters. However, within modern Japanese female expressions including shojo manga, the Alphonse Mucha format originated as imagery capable of suggesting the modern ego, physicality, and political nature, and as such, understanding the modern historical context of the Year 24 Group bears significance to manga education.
著者
杉本 真理子 Mariko SUGIMOTO
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2011
巻号頁・発行日
2011-11-30

この報告は、2010年10月17日~27日まで、神戸市のギャラリーにて開催された「OTOME展」についてのものである。「おとめ」とは何か、ただ単に「女性」や「少女」をテーマにしただけのイラスト展ではなく、インターネットのない時代から現代まで「カルチャーの原点は雑誌である」という仮説のもと、日本で最初の「少女まんが」は何か、少女まんがに影響された「叙情画」とは何か、昭和初期と現在の少女の文化はどう変化していったかということと、サブカルチャーの今までのあり方、さらにこれからのあり方を想定し、社会的背景や、ジェンダーの問題がどのように少女文化に影響を与えたのか、などの問題をふまえた上で、現在流行している「タレント本」から、細分化された「まんが」「ゲーム」「ライトノベル」などに登場するキャラクターの変化や、また別の切り口として「少女まんがは異端の文化」である事を理論付け、男性から見た現代の「OTOME」の姿と、女性から見た原点の「OTOME」の像を、イラストという形態でアウトプットし、展示した時に生じる何らかの差異が表面化できるかどうか試みたのが、今回の主旨でもある。This report is about "OTOME exhibition" exhibited at an gallery in Kobe from 17th to 27th of October in 2010.What is "OTOME (the meaning is girl in Japanese)" ?It is not only illustrations exhibition that the theme is "woman" or "girl". After supposing that what "the first girls cartoon" in Japan is, what "Jyojyo-ga (lyric picture)" influenced by girls cartoon is, how the girl's culture has changed since early Showa period until today and how subculture has existed until now besides how it will exists hereafter from resting on the supposition that " the source of culture is magazines" from early Showa period until today and referring to that social background and how the matter of gender has affected girl's culture, we developed a theory that change in characters in "famous people's essay" popular nowadays, "comic", "computer game", "light novel" and also the fact "girl's cartoon is heterodox culture" as another light and experimented whether we make any difference from exhibiting the works come to the surface or not by outputting a modern figure of "OTOME" from men's point of view and an original figure of "OTOME" from women's point of view by drawing illustrations. This experiment is our theme.
著者
多田 由美 杉本 真理子 泉 政文 綱島 夢美 萩原 こまき Yumi TADA Mariko SUGIMOTO Masafumi IZUMI Yumi TSUNASHIMA Komaki HAGIWARA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2013
巻号頁・発行日
2013-11-25

まんが表現における作画技術教育の前提として必要なのは、まんが表現史的な視点である。手塚治虫系のキャラクター表現に関しては、田河水泡とディズニーの作画方法を構成主義的に解釈した「ミッキーの書式」に基づくことが指摘されているが、本報告では少女まんが領域における「ミュシャの書式」(すなわちヨーロッパの19世紀末から、アール・ヌーヴォー、アール・デコなどの挿絵や広告画の援用・解釈に基づく「書式」)の所在について仮説的に述べる。1901年、与謝野晶子『みだれ髪』の表紙に藤島武二がミュシャふうの意匠を採用し、近代女性文学における「私」と「ミュシャ」的表象が結びつく。そして1970年代に少女まんが領域で「内面の発見」がなされた時、それを主導したいわゆる「24年組」によって再度「ミュシャの書式」が再受容された。「ミュシャの書式」は一見、キャラクター的、非歴史的に見えながら、日本近代の少女まんがを含む女性表現では近代的自我や身体性、政治性を包摂しうる表象として出発し、「24年組」の背後にある近代史的文脈を理解することはまんが教育として重要である。
著者
大塚 英志 本多 マークアンソニー 山本 忠宏 中島 千晴 尹 性喆 泉 政文 菅野 博之 杉本 真理子
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

近代を通じて雑誌など紙のメディアで発達して来たまんが表現がインターネット上に移動したとき、コマの配列やつながり方を中心とする「まんがの文法」は、いかに新しい環境下で変化すべきか、その新しい国際標準のあり方を仮説と実作の反復によって検証し、いわゆる「リミテッドアニメ」に近い形式が相応しい、と結論した。「リミテッドアニメ」とは、静止画をレイヤーとして重ねたカットをモンタージュして行く手法でまんがにおける映画的手法と一体であり、Webコミックの将来形は「リミテッドアニメ」であるという結論を得た。また、調査過程で文化間のまんが文法をふまえたまんが創作教育の教授法についても成果が出た。