著者
杉浦 真由美 重田 勝介
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.46018, (Released:2022-08-18)
参考文献数
20

本研究では,大学教員を対象としたブレンド型授業を設計するための教員研修プログラムを開発した.教員研修プログラム開発の指針を得るため,多様な教員がブレンド型授業を実施する上での課題を分析した.その結果,教員はオンラインツールを用いたことなどによるメリットを感じた一方で,授業方法の変化に伴う不便さや困難を感じ,学生を含め心身への影響を及ぼした状況が明らかとなった.この分析をもとに,教員研修プログラムの構成要素として,教授者目線で3つのステップを踏みブレンド型授業を考案する「リビルド法」と,リビルド法に基づきブレンド型授業を設計する「授業デザインツールキット」を開発した.ツールキットを用いた教員研修プログラムを実施した結果,ツールキットと教員研修の場が,ブレンド型授業を設計するために有用であったことが示唆された.
著者
高橋 暁子 杉浦 真由美 甲斐 晶子 冨永 敦子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.253-265, 2019-12-31 (Released:2020-02-14)
参考文献数
46

本研究では,日本におけるインストラクショナルデザイン(ID)の先行研究をレビューし,研究動向を整理した.2003年から2018年までの教育工学領域の論文から72編のID 研究論文が抽出され,ここ10年の論文数は横ばいであった.そのうち61編が実践系の論文に位置づけられ,とくに「教育実践の改善および学習環境づくり」での活用が顕著であることが示された.教育現場における実践報告が多くの割合を占める一方で,実践研究と基盤的研究との往還やID 本来の趣旨である教育設計時の活用に関しての課題が明らかになった.
著者
杉浦 真由美
出版者
奈良女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

iPS細胞の臨床応用のために必須である「iPS細胞の質の評価」を分子レベルで可能にするため、細胞株間の質、特に分化多能性と関連する分子的特徴を解析した。ヒストン修飾に注目して分化能の程度が異なる細胞株間の比較や薬剤処理による多能性回復過程における解析を行い、活性型ヒストン修飾がiPS細胞の多能性の程度と関連し得ることを示した。さらにヒストン修飾関連因子のうちc-Mycと特定のHDACが標的ヒストン修飾や細胞の分化状態に影響を与える可能性を示した。これらの相関はES細胞ではみられなかった。また、複数のiPS細胞のゲノムを詳細に解析し分化能の違いはゲノム安定性の差によるものではないことを確認した。