著者
李 為
出版者
京都産業大学マネジメント研究会
雑誌
京都マネジメント・レビュー = Kyoto Management Review (ISSN:13475304)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.143-159, 2021-03-31

p 値は学界で論争されてきた話題で,ロナルド・フィッシャーはp 値を形成することを提案し,0.05 をこのp 値の閾値に設定した後,この話題の論争は中断されたことがない.p 値の廃止を提案した方々は,p 値を過度に重視しすぎたため,研究者は様々な方法でp<0.05 を求めるだけに腐心し,実際の効果の大きさを無視していると指摘している.近年,多くの学者が連名でp 値の廃止を呼びかけているが,廃止を支持しない研究者は,p 値が帰無仮説として成立する確率は客観的な評価基準とみなし,p 値を廃止すると論文で結論を判定することが困難であり,様々な無意味な結論に満ちてくるだろうと反論している.現在,様々なフォーラムで,この問題を議論する議題が次々と出ており,議論の内容は素晴らしいが,参加者の見解には大きな隔たりがあり,p 値が廃止されるべきか否かの結論は出ていない.筆者は社会調査データ分析を扱う立場から,本稿で現状に基づいてp 値の是非を考える.
著者
李 為達 日永田 智絵 長井 隆行
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3K4J203, 2019 (Released:2019-06-01)

現在普及に及んでいる人との会話を目的とした対話システムの殆どは会話文の文法の構成を着目点として処理を行っている.しかし,人間同士で会話を行うとき,人は無意識に感情を働かせたり過去の会話や自分の知識に基づいて相手に対する返答を行う.今回は人が会話を行うときに使用すると推測される感情の変化やその人個人の経験などを会話の一つの潜在要素として使用したときの対話システムの話し方の変化について検証を行った.今回の対話システムはある程度の会話の継続性に意識をし、会話を続けることができた.
著者
李 為
出版者
京都産業大学マネジメント研究会
雑誌
京都マネジメント・レビュー (ISSN:13475304)
巻号頁・発行日
no.32, pp.261-275, 2018-03

本稿は大学生のキャンパス規範意識の事実関係を把握するために,2016 年4 月入学の経営学部一年生を対象に行った実態調査の分析結果である.キャンパスにおける規範意識に関する自己認知の測定尺度を用いて,質問紙調査を行い,性別や社会規範の意識について分析し考察した.調査結果について初歩的な統計分析を行った.その結果,授業中の私語,授業への出席,キャンパスでの喫煙,脱法ハーブの使用,未成年飲酒と喫煙の経験者数は男女間に有意な相関関係がみられた.性別では,男女共に未成年飲酒と未成年喫煙に対する意識は,規範意識によるものではなく,健康意識によって判断される傾向にある.さらに男子学生は女子学生に比べて未成年飲酒と喫煙の経験者数の割合が高く,規範認知では大学生の意識の低さが目立っている.これらのことから,大学生初年次への規範教育は重要であり,キャンパスの規範意識を高めていく教育環境作りの必要性を示唆する.1.問題提起2.社会規範に関する一般的記述3.調査の目的と概要4.考察:規範意識の空間表象5.結語