- 著者
-
村下 公一
- 出版者
- 国立研究開発法人 科学技術振興機構
- 雑誌
- 情報管理 (ISSN:00217298)
- 巻号頁・発行日
- vol.58, no.10, pp.728-736, 2016-01-01 (Released:2016-01-01)
弘前大学は,政府COI(センター・オブ・イノベーション)拠点の一角を担っている。日本が超高齢社会を迎え,医療費増大が社会的問題となる中,「寿命革命」を旗印に,「リスクコンサーン型医療」へと転換して健康長寿社会の実現に取り組んでいる。弘前大学COI拠点の最大の特徴は,地域住民との厚い信頼関係に基づき,10年以上に及ぶコホート研究(岩木健康増進プロジェクト)によって集積された膨大な超多項目健康ビッグデータ(約600項目)の存在である。現在,この健康ビッグデータを基盤に,GEヘルスケア・ジャパンをコアに,イオンや花王,ライオンなど30以上に及ぶ強力な産学官連携チームによって,認知症などの疾患予兆発見と予防法開発にチャレンジしている。また,本ビッグデータは住民の健診情報が基盤となることから,個人情報保護法改正やマイナンバー導入を見据えた慎重な対応を進めている。