著者
村山 恭朗 伊藤 大幸 高柳 伸哉 松本 かおり 田中 善大 野田 航 望月 直人 中島 俊思 辻井 正次
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.477-488, 2014

反応スタイルは抑うつの維持もしくは悪化を引き起こす要因である。本研究は小学4年生から中学3年生の5,217名を対象とし小学高学年・中学生用反応スタイル尺度を開発することを目的とした。既存の反応スタイル尺度を参考に,「反すう」,「問題解決」,「思考逃避」,「気晴らし」の4因子を想定した原案16項目を作成した。探索的因子分析の結果,想定された通り小学高学年・中学生用反応スタイル尺度は4因子(「反すう」,「問題解決」,「思考逃避」,「気晴らし」)で構成されることが示された。さらに各因子間に認められた相関は先行研究の知見に沿うものであった。また信頼性に関して,各下位尺度のα係数は概ね基準以上の値であることが確認された。外在基準とした抑うつおよび攻撃性との相関を検討したところ,「反すう」は正の相関,「問題解決」および「気晴らし」は負の相関を示した。これらの結果は先行研究に沿うものであり,小学高学年・中学生用反応スタイル尺度の構成概念妥当性が確認された。
著者
村山 恭朗
出版者
Japan Society of Personality Psychology
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.61-72, 2013
被引用文献数
1

不適応な感情制御方略である抑制と反すうは抑うつへの脆弱性を高める要因である。先行研究において,思考抑制と反すうとの縦断的関係が議論されており,どちらのモデルも報告されている。そこで本研究は,抑うつへの脆弱性が高い女子大学生(55名,18.98歳)を対象として,ストレッサーとの相互作用を通じて,日常的な思考抑制傾向が反すうの強さに影響を及ぼすプロセスを検討するために縦断的調査を行った。その結果,思考抑制傾向が強い女子大学生では,ストレッサーを経験するほど反すうが強まったが,思考抑制傾向が低い女子学生ではストレッサーを経験しても反すうの強さは変化しなかった。本研究結果から,思考抑制傾向は反すうを強める要因である可能性が示唆される。
著者
村山 恭朗 岡安 孝弘
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.67-76, 2012

Some studies have suggested that depressive ruminations are stable over time, whereas other studies have indicated that ruminations have state-like characteristic, with no consistent stability of ruminations. Moreover, there is little research on the interactive relationship between ruminations and stressors, even though past studies have implied the possibility of such a relationship. We conducted a three-wave, longitudinal study to investigate the stability of ruminations and the interactive relationship between ruminations and stressors. Participants were female college students (<i>N</i>=53, Mean age 18.98±1.15 years). Results indicated absolute and relative stability between the interval T1 and T2, but only relative stability in the interval between T2 and T3 and the interval between T1 and T3 interval. Moreover, the results of path analysis suggested an interactive relationship between ruminations and stressors.