著者
村瀬 洋一
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.21-40, 1999

政治的影響力は直接測定するのが困難であり, 全国レベルでの政治的影響力の格差に関する実証的研究は乏しかった。本研究は, 政治的影響力の指標として, 「政治的有力者との人間関係 (関係的資源) の保有量」という変数を用いて分析を行った。1975, 1995年の社会階層と社会移動全国調査 (SSM 調査) 男性データを分析した結果, (1) 1975年時点では地域間格差が明確に存在し, 議員との関係的資源は, 大都市部住民の保有は少ないことが分かった。 (2) 1995年時点でも, 大都市部住民の保有は少ないが, 町村や大都市よりも, 人口10万人未満の小規模な市において, とくに議員との関係的資源保有が多く, 地域とつきあい保有は凸型の関連があった。 (3) 資源保有の規定因としては, 年齢, 世帯資産, 自営業であること, などの変数が大きな規定力を持つ。 (4) 1995年では, 学歴や役職などの業績主義的変数が規定力を持つ一方, 地域の効果は縮小している。最近では, 政治的影響力の地域間格差の構造に変化が起きている。
著者
村瀬 洋一
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.21-40, 1999
被引用文献数
1

政治的影響力は直接測定するのが困難であり, 全国レベルでの政治的影響力の格差に関する実証的研究は乏しかった。本研究は, 政治的影響力の指標として, 「政治的有力者との人間関係 (関係的資源) の保有量」という変数を用いて分析を行った。1975, 1995年の社会階層と社会移動全国調査 (SSM 調査) 男性データを分析した結果, (1) 1975年時点では地域間格差が明確に存在し, 議員との関係的資源は, 大都市部住民の保有は少ないことが分かった。 (2) 1995年時点でも, 大都市部住民の保有は少ないが, 町村や大都市よりも, 人口10万人未満の小規模な市において, とくに議員との関係的資源保有が多く, 地域とつきあい保有は凸型の関連があった。 (3) 資源保有の規定因としては, 年齢, 世帯資産, 自営業であること, などの変数が大きな規定力を持つ。 (4) 1995年では, 学歴や役職などの業績主義的変数が規定力を持つ一方, 地域の効果は縮小している。最近では, 政治的影響力の地域間格差の構造に変化が起きている。
著者
中野 康人 阿部 晃士 村瀬 洋一 海野 道郎
出版者
環境社会学会
雑誌
環境社会学研究
巻号頁・発行日
no.2, pp.123-139, 1996-09-20

本稿は、環境問題を社会的ジレンマの視点からとらえ、個人の合理的な行為に焦点を当てることにより、問題解決を目指そうとするものである。ここでは、ごみの排出量を減少させることについて、協力行動をしようと考える行為者と協力行動をしないと考える行為者との違いを探ることにより、協力行動の促進要因や阻害要因を明らかにする。1993年11月に仙台市内の1500世帯を対象に実施した調査データに基づいて、過剰包装拒否、使捨商品不買、資源回収協力、コンポスト容器利用の4つの行動について、その行動を実行する協力意志に影響する要因を分析した。判別分析によると、いずれも行動に対する規範意識がもっとも強く協力意志に影響するという結果が出たが、要因間の構造を見るために、規範意識とコスト感と心配度の3変数をPOSA(Partial Order Scalogram Analysis)に投入した。その結果、行動によって要因間の構造に差が見られた。使捨商品不買とコンポスト容器は、コスト感と心配度が改善されないと、規範意識が高まりにくく(規範後発ルート、資源回収協力は、コスト感が高かったり、心配度が低かったりしても、規範意識は高くなりうる(規範先発ルート)のである。各要因を制御する際には、こうした構造の違いを考慮に入れなければならない。