著者
本田 直子 杉本 陽子 村端 真由美
出版者
一般社団法人日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.44-50, 2015-07-20

本研究の目的は、NICUに入院した早産児をもつ母親がわが子を抱いている時の思いについて明らかにし、抱くことの意味を母親の主観から検討することである。対象は早産児をもつ母親で、わが子を抱いている時の思いについて半構造化面接を行い、母親の思いの部分を抽出し、得られた内容をKJ法で分析した。その結果、わが子を抱いている母親の思いは【生きている存在であることの実感から子どもの生きる力の強さや生命力を感じた】【出産から今がつながり、わが子として存在をより近くで実感した】【身体の小さいことや未熟さから、保育器外の環境にいることや成長に心配や不安を持った】【子どもとのつながりが感じられ、母親として自分の存在を自覚した】【子どもを愛おしく思い、子どもと過ごす時間が大切だと感じた】【抱っこは成長の証と感じて前向きな気持ちになった】であった。早産児を持つ母親はわが子を抱いている時に五感で子どもを感じ取ることで相互作用が生じ、母親としての始まりを実感していた。早産児の身体の小ささや呼吸の荒さ、ぬくもりや重みなど子どもが意図して発していないものもサインとして受け取られていた。同時に、抱くことができるという状況から子どもの成長を感じ、今までもてなかった安堵感や前向きな気持ちを感じていた。