- 著者
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加藤 憲一
宮沢 篤生
高瀬 眞理子
東 みなみ
大塚 康平
江畑 晶夫
寺田 知正
長谷部 義幸
清水 武
水野 克己
- 出版者
- 昭和大学学士会
- 雑誌
- 昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
- 巻号頁・発行日
- vol.83, no.6, pp.373-379, 2023 (Released:2024-01-25)
- 参考文献数
- 24
動脈管早期閉鎖(premature closure of ductus arteriosus:PCDA)の原因として母体への非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti- inflammatory drugs:NSAIDs)が知られているが,近年ポリフェノールも原因となることが報告されている.ポリフェノール含有飲料が原因と思われるPCDAが疑われた1例を経験した.症例は在胎37週3日,2,730gで出生した一絨毛膜二羊膜双胎第2子.生後2時間から酸素化不良を認め,その後も酸素需要が続くため日齢1にNICUに入室した.胸部X線,12誘導心電図で右室肥大が認められ,心エコー図では動脈管閉鎖,心室中隔の平坦化,心房間の右左短絡が認められ,PCDAが疑われた.妊娠中にNSAIDsの服用はなかった.あずき茶とルイボスティーを連日飲用していたことが判明し,PCDAの原因としてこれらに含有されるポリフェノールの影響が疑われた.ポリフェノールはさまざまな食品に含まれており,一般的に健康に良いものと認知されているが,妊娠中の摂取について注意喚起が必要である.