著者
加藤 憲一 宮沢 篤生 高瀬 眞理子 東 みなみ 大塚 康平 江畑 晶夫 寺田 知正 長谷部 義幸 清水 武 水野 克己
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.373-379, 2023 (Released:2024-01-25)
参考文献数
24

動脈管早期閉鎖(premature closure of ductus arteriosus:PCDA)の原因として母体への非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti- inflammatory drugs:NSAIDs)が知られているが,近年ポリフェノールも原因となることが報告されている.ポリフェノール含有飲料が原因と思われるPCDAが疑われた1例を経験した.症例は在胎37週3日,2,730gで出生した一絨毛膜二羊膜双胎第2子.生後2時間から酸素化不良を認め,その後も酸素需要が続くため日齢1にNICUに入室した.胸部X線,12誘導心電図で右室肥大が認められ,心エコー図では動脈管閉鎖,心室中隔の平坦化,心房間の右左短絡が認められ,PCDAが疑われた.妊娠中にNSAIDsの服用はなかった.あずき茶とルイボスティーを連日飲用していたことが判明し,PCDAの原因としてこれらに含有されるポリフェノールの影響が疑われた.ポリフェノールはさまざまな食品に含まれており,一般的に健康に良いものと認知されているが,妊娠中の摂取について注意喚起が必要である.
著者
大塚 康平 植田 憲 宮崎 清 朴 燦一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.53-62, 2003-07-31 (Released:2017-07-19)
参考文献数
41

本稿は、江戸時代に、どのような経路を経て、裂き織りの材料となった古布・木綿布が木綿を栽培することができなかった寒冷地・東北地方に渡ったかを、文献資料に基づいて整理したのもで、以下の点を明らかにした。1)裂き織りの材料となる古布・木綿布は、近郊に生産地を抱えていた大阪に集積され、交易船によって、大阪から大消費都市・江戸に運ばれた。寒冷地・東北地方の港には、西廻り航路(北前船)、東廻り航路で運ばれ、港からは河川交通によって内陸部に搬送され、陸揚げ後は、陸路を通じて移送された。2)東北地方や蝦夷地の帰り荷として、鰊や鰯の搾り粕が木綿を育てるための肥料として運ばれ、畿内を中心とする木綿栽培地で活用された。3)主要な寄港地に存在した古着屋は、裂き織りの材料としての古手・ボロ布の流通に重要な役割を果たした。とりわけ、大消費地・江戸の古着屋は、資源循環・再利用機構の要をなした。