著者
山本 泰 東 和男 好井 久雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.28, no.9, pp.496-501, 1981-09-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
22
被引用文献数
3 3

醸造における原料の有効利用や麹菌による着色コントロールを可能にするためには麹菌のヘミセルラーゼの作用を明らかにする必要があり,本報ではまず市販種麹から分離したキシラナーゼ活性について検討し,次の結果を得た。(1) 麹菌のキシラナーゼ活性測定の条件は,pH5.5,40℃ 30分の反応が適当であった。(2) 〓麹におけるキシラナーゼの生産は,散水が60%以上で30℃培養が優れ,40~60時間において急激に増加し,70時間で最高値に達した。(3) 麹菌を形態や種類によってグループ別けした場合には,これらのグループ間にキシラナーゼ平均活性の差を認めたが,いずれのグループにもキシラナーゼの強い菌株と弱い菌株が含まれていた。(4) キシラナーゼ活性と中性及びアルカリ性プロテアーゼ活性との間には高度に有意の相関があり,醤油の醸造等においてヘミセルロースと蛋白質の分解の関連性が推測された。
著者
東 和男 山本 泰 好井 久雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.121-124, 1987-02-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

電子顕微鏡により耐塩性酵母Zygosacch. rouxiiの微細構造を観察し, 次の結果を得た。1) 2%過マンガン酸カリウムで24時間固定した無塩及び含塩下培養の対照酵母Sacch. sakeは完全に過固定になったが, 同固定条件では耐塩性酵母はやや過固定にとどまった。一方, 両酵母のプロトプラストは過マンガン酸カリウムより固定能の弱い2%四酸化オスミウムによって適切に固定された。上記のことは, 耐塩性酵母の細胞壁が細胞内への固定液の透過を抑制していることを示しており, 細胞壁は食塩の細胞内への透過に対する防壁となることが推定される。2)細胞壁の厚さは,対照酵母では含塩下培養で薄くなる傾向が認められたが, 耐塩性酵母では無塩と含塩下培養の間に差異が認められなかった。3)耐塩性酵母において無塩培養でミトコンドリアが良好に発達したほかは, 耐塩性酵母対照酵母のいずれにおいても食塩は細胞質構造に影響を及ぼさないことが観察された。