著者
東 秀明 稲葉 愛美 愛知 正温
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

ザンビア国内で発生している人獣共通感染症病原体の感染経路の解明を目的とし、河川水中の炭疽菌芽胞に着目し病原体の水系伝播の解明を試みた。炭疽アウトブレイクが繰り返し発生しているルアンガ川流域において河川水を採取し、本研究で開発した炭疽芽胞濃縮法により試料を調製した。PCR及び次世代シークエンサーを用いた解析から河川水中に炭疽菌が存在していることを示すとともに、同河川水での腸管系ウイルスの存在を明らかにした。加えて、採材地点の河川水深、水温、濁度、河川水流等の環境情報を取得し、河川水による病原体拡散モデルの構築を行った。
著者
有井 祥夫 冨田 直樹 前田 彰 小林 孝良 伊東 秀明 飛田 公一 山下 芳興
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.38, no.7, pp.577-584, 1996-07-30 (Released:2009-04-21)
参考文献数
7
被引用文献数
1

高速実験炉「常陽」は,燃料・材料の照射施設として,多種多様な照射試験が要求されており,これに対応すべく,炉心の高中性子束化,照射運転時間の増大および照射技術の高度化によって照射性能を向上させる「常陽」の高度化計画の検討を進めてきた。本稿では,計画の概要と炉心,冷却系設備等の設計結果について述べる。なお,設備の改造は,稼働中のプラントであるという制約条件を踏まえて行うものであり,その内容についても紹介する。
著者
畠山 昌則 東 秀明
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

ヘリコバクター・ピロリ菌由来cagA遺伝子を胃上皮細胞に一過性導入・発現させる系を樹立した。発現されたCagAタンパク質は細胞内で細胞膜近傍に局在し、Srcファミリーキナーゼによりチロシンリン酸化を受けた。CagAはチロシンリン酸化依存的にSHP-2チロシンホスファターゼのSH2ドメインと特異的に結合し、この結合を介してSHP-2のホスファターゼ活性を増強した。また、CagA-SHP-2相互作用の結果、胃上皮細胞には細胞質の著しい進展で特徴付けられる形態的変化(hummingbird表現型)が誘導された。CagAのチロシンリン酸化に関わるEPIYAモチーフは単離される菌株ごとにその数ならびに周辺アミノ酸組成が変動する。欧米諸国で単離されるピロリ菌由来CagAのSHP-2結合活性ならびにhummingbird表現型誘導活性はEPIYAモチーフの数に比例した。一方、胃癌の多発する日本、韓国など東アジア諸国で単離されるピロリ菌CagAは、欧米型CagAと周辺アミノ酸を異にするEPIYAモチーフを有し、この東アジア特異的EPIYAモチーフは欧米型EPIYAモチーフに比べはるかに強いSHP-2結合能ならびにhummingbird表現型誘導活性を示した。CagAとチロシンリン酸化特異的に結合する第二の細胞性蛋白としてCskを同定した。CskはCagAとの結合により活性化され、Srcを抑制することによりCagAのリン酸化レベルを低下させた。CagAによるSHP-2の構成的活性化は胃上皮細胞のapoptosisを誘導することから、CagA-Csk相互作用はCagAの細胞毒性を現弱させるフィードバック制御に関与するものと推察された。