著者
東 秀明 稲葉 愛美 愛知 正温
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

ザンビア国内で発生している人獣共通感染症病原体の感染経路の解明を目的とし、河川水中の炭疽菌芽胞に着目し病原体の水系伝播の解明を試みた。炭疽アウトブレイクが繰り返し発生しているルアンガ川流域において河川水を採取し、本研究で開発した炭疽芽胞濃縮法により試料を調製した。PCR及び次世代シークエンサーを用いた解析から河川水中に炭疽菌が存在していることを示すとともに、同河川水での腸管系ウイルスの存在を明らかにした。加えて、採材地点の河川水深、水温、濁度、河川水流等の環境情報を取得し、河川水による病原体拡散モデルの構築を行った。
著者
愛知 正温 斎藤 庸 徳永 朋祥
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.449-460, 2014-11-01 (Released:2019-10-05)
参考文献数
26

地盤沈下問題が顕在化する前の時期には,地下水揚水量の調査が行われることはきわめて少ない.このため,地下水流動や地盤沈下に関する信頼性の高いモデルを構築できないことが多い.本研究では,東京都区部を対象とし,既存の地下水揚水量データと国民総生産との関係を検討し,地下水揚水規制が始まる前の地下水揚水量の推定を試みた.その結果,両者の関係は,1959年前後において屈曲する区分線形関数により,よく近似されることがわかった.地下水揚水量と国民総生産の近似関係式を外挿して求めた過去の地下水揚水量の推定値は,世界恐慌や第二次世界大戦時の地盤沈下速度の低下や地下水位の変化と調和的であった.このような推定手法は,東京のような国家経済を牽引する大都市に対して有効であると考えられ,現在地盤沈下等の問題に直面しているアジアの大都市において,不足している地下水揚水量データを推定するための一手法として期待される.