著者
井出 徹 水口 公信 伊東 範行 野口 照義
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.22-26, 1991-01-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
15

アルコールは人間生活の潤滑剤であるが,飲酒が直接・間接の原因となり発症した外傷は数多い.アルコールは外傷の病態を複雑化し,診断・治療に多大の影響を及ぼす.このため飲酒外傷患者に対する緊急手術の麻酔は様々な問題点を抱えている.今回我々は血中アルコール濃度を測定し得た外傷患者の麻酔管理につき検討を加えたので報告する.
著者
東 範行 横井 匡
出版者
国立研究開発法人国立成育医療研究センター
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

ヒトおよびマウスのiPS細胞、ES細胞から、網膜神経節細胞を作製した。網膜神経節細胞は構造的にも機能的にも成熟していた。その単離培養にも成功した。この網膜神経節細胞を、視神経を傷害したマウスに移植した、ドナー細胞は網膜内に生着するとともに、視神経入口部に向かって軸索を伸ばし、一部は視神経内に侵入した。網膜神経節細胞の軸索の複雑な経路探索について、誘導物質Sem3AやSlit1の評価を行った。各化合物をビーズに浸透させて局所で徐放したところ、軸索は化合物に応じて屈曲し経路を変更した。小型動物実験においては、網膜神経節細胞を移植し、その軸索を視神経内に誘導し経路をコントロールする可能性が示された。
著者
東 範行
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.216-222, 2022-09-25 (Released:2022-09-30)
参考文献数
8

我々はヒトiPS細胞,ES細胞から長い軸索をもつ網膜神経節細胞(RGC)を自己的に分化させることに初めて成功した.これによってヒト細胞を用いて視神経の研究をin vitroで行うことが可能となった.疾患の細胞モデルを作製すれば,その発生や病態の分子メカニズムを検討することができる.遺伝性疾患では,患者細胞からiPS細胞を作製してRGCに分化させ,非遺伝性疾患(虚血性視神経症,緑内障,外傷)ではiPS細胞/ES細胞由来のRGCにストレス(低酸素,加圧,伸展)を加えてモデルとする.ヒト細胞を用いた薬物評価系は神経保護薬や神経再生薬の創薬に大きく役立つ.また,発生学や神経学の基礎研究にも寄与すると思われる.RGCの移植は難しいが,マウスでは網膜内に生着して軸索伸長することも確認されている.ヒトRGCのin vitro研究は,さまざまな分野で研究や臨床に応用できることが期待される.