著者
森 玲奈 村上 正行
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.2, pp.24-31, 2021-07-03 (Released:2021-07-05)

本研究では,大学院生のより詳細な教育状況・学修状況の把握を目的として,都内の私立X大学大学院生を対象に半構造的インタビューを行い,大学院生活の躓きと乗り越えを明らかにすることを目指す.本稿では大学院生17名に行った半構造化インタビューの結果について述べる.大学院生は不可避な研究生活における躓きを研究室・ゼミや指導教員以外のリソースからの支援を活用し乗り越えていることが明らかになった.
著者
武田 俊之
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.2, pp.88-94, 2023-07-21 (Released:2023-07-21)

生成系AIの急速な進化と普及は,大学の教育と研究へ大きなインパクトになりつつある.授業でのAIによるコンテンツ生成の利用は積極派,慎重派に意見が分かれており,評価の基準,教育目的の再考,倫理的な考慮,法的課題などさまざまな論点もある.日本の大学は生成系AIをどのように理解し,取り扱いの方針を立てているか.この報告ではウェブサイトから収集した約200のAIガイドラインを分析することによって,日本の大学の認識と取り扱いを概観する.
著者
小田 理代 斎藤 明日美 毎床 愛美 登本 洋子 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.2, pp.267-273, 2023-07-21 (Released:2023-07-21)

本原稿では,女子及びジェンダーマイノリティの大学生・大学院生(以下,女子学生)によるプログラミングの学習が,プログラミングの動機づけにどのように影響するのかを検討することを目的に調査を行った.女子学生を対象に2週間のプログラミングのコース(Waffle Collegeエントリーコース)を実施し,コース実施前後に期待-価値モデルを適用した,プログラミングの動機づけに関する質問紙調査を行った.その結果,成功期待,実践的利用価値が有意に増加し,心理コストが有意に減少した.また機会コストは有意に増加したことが示された.
著者
正司 豪 尾澤 重知
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.3, pp.40-47, 2021-10-29 (Released:2021-10-29)

本研究の目的は,コロナ禍において修士課程に進学予定の大学生を対象に1年間にわたる研究内容の変容の契機を明らかにすることである.本研究では,大学4年生9名に対し半構造化インタビューを行なった.質的な分析の結果,研究内容の変容の契機は,(1)指導教員からの助言 (2)ゼミの先輩からの助言 (3)同じ関心を持つ学外の他者との対話,の3つに類型化することができ,「ゼミの仲間同士の学び」が不十分な事例が見られた.そこで,ゼミにおいて孤立化を防ぐ支援の必要性が示唆された.
著者
向後 千春
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.2, pp.44-51, 2022-06-27 (Released:2022-06-27)

何を学ぶにしても人はひとりでは学ぶことはできない.独学で本から学ぶという場合であっても,文化的所産である書物に頼っている.人の学習を下支えするものとして,Ryan & Deci(2017)は基本的心理欲求理論の中で,関係性,有能,自律を挙げた.この中で重要な働きをしているのが感情制御である.感情制御のトレーニング手法は徐々に試行されつつある.本稿ではアドラー心理学に基づいた感情の捉え方をすることによって感情制御の新しいコースを設計し,その概要を示す.また,既存の授業や研修を感情制御のトレーニングとしてみたときにどのように改善できるかについての示唆をする.
著者
加藤 奈穂子 尾澤 重知
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.2, pp.32-39, 2021-07-03 (Released:2021-07-05)

本研究の目的は,大学入学後のどのような学習経験がアンラーニングを促し,学習観に影響を与えるかを明らかにすることであった.そのために,大学3年生7名を対象とし半構造化インタビューをおこないTEAによって分析した.その結果,本研究の対象となった学生は<一方向型>と<参加型>授業へのスパイラルな経験で,<一方向型>授業への批判的な問題意識が醸成され<強制的に知識を詰め込む必要はない>とアンラーニングが発生した.そして<学習とは社会で活躍するために行うこと>とする学習観が強化された.
著者
梶本 秀樹 藤村 裕一
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.2, pp.9-16, 2023-07-21 (Released:2023-07-21)

高校生の不適応行動に関する要因は複雑で,改善が困難である.しかし,素手素足のトイレ掃除を行う事によって非認知能力をより効果的に育成する変容要因と非認知能力が育成されていることが明らかとなった.さらに,素手素足のトイレ掃除を繰り返し行う事によって,どのように育成されていくのかを明らかにするために,不適応行動を引き起こす生徒のエピソード記録と半構造化質問紙調査を分析し,その育成要因を構造的に明らかにした.
著者
瀬崎 颯斗 渡邊 智也 小野塚 若菜
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.3, pp.152-159, 2023-10-16 (Released:2023-10-16)

近年,海外の高等教育分野を中心に,学習者中心の考えに基づくフィードバック研究が進んでおり,フィードバック・リテラシーの概念が注目されている.本稿では,本概念の研究動向に関するレビューを通じて,学習者のフィードバック・リテラシーの定義と構成概念,それを高める介入方法としての学習活動に関する検討を行った.これまでの動向としては,理論研究による概念枠組み提案,学生調査によるカテゴリー生成,尺度開発研究への発展,という流れで研究が進展しており,介入方法としては学習者による評価活動やフィードバックに関するワークショップ等が存在することが示された.
著者
森田 淳子 向後 千春
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.2, pp.32-39, 2022-06-27 (Released:2022-06-27)

学士課程のオンデマンド授業に関して,先行研究の2種類の対話型ビデオを発展した形式での収録(講師,聞き手のTAと受講生の参加)を試みた.講師単独のビデオと比較しどちらが好まれるかについてアンケート調査を実施したところ(N=168,回収率70%),「講師単独によるビデオ」が5%に対して,「受講生とTAを交えたビデオ(今回の形式)」を好む回答が86%であった.また,講師がレクチャーで画面共有する資料について,スライドとマップのどちらかを好むかについての回答は「スライドの提示」が19%対して,「マップの提示(今回の形式)」が64%であった.
著者
石黒 千晶 東南 裕美 安斎 勇樹
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.3, pp.47-52, 2023-10-16 (Released:2023-10-16)

創造性の発揮は企業組織にとって喫緊の課題である.近年,海外では創造性に関する自信を示す創造的自己効力感が実際の仕事の場での創造的パフォーマンスに影響することが示されている.本研究では企業の従業員と上司を対象にして質問紙調査を行い,従業員個人の創造的自己効力感とチームレベルの創造的自己効力感が上司による創造性評価に与える影響の違いを検討した.
著者
鈴木 綾 姫野 完治
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.3, pp.126-133, 2023-10-16 (Released:2023-10-16)

国際バカロレア校の中等教育学校でサーベイフィードバックの手法を用いた校内研修を試行した.教科の枠を越えた学びに対する意識を調査した結果,生徒は学際的単元の授業において創造的アプローチと知的やりがいを求めていることが分かった.また,勤務年数の短い教員は,探究テーマと総括的評価の項目を作成しにくいと感じていることが示唆された.校内研修において単元計画を協働設計し,今までにない組合せで教科・科目を統合することが発案された.
著者
深見 俊崇 森永 遥香
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.1, pp.47-53, 2021 (Released:2021-10-24)

探究的な学習の過程における「課題の設定」の問題解決への示唆を得るため,日本の総合的な学習の時間と海外の”inquiry-based learning”の実践事例を収集し,そのモデル化を図った.海外では,研究的な実践として「結論」を導くことに焦点化されており,児童・生徒が専門書等の資料を読解したり,彼らの役割やシナリオを明確化する「ストーリー」が重視されたりしていた.一方,日本では,児童・生徒が課題を設定する際の自由度の高さや教師の取り得る指導の選択肢の幅広さが認められたが,それは指導の困難さにもつながっていた.
著者
伊藤 真紀 佐藤 和紀
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.2, pp.208-213, 2023-07-21 (Released:2023-07-21)

本研究は,小学校4学年の児童が反転授業の予習に取り組む際に,情報端末を介した外的リソースを,選択・活用しているかの実態,および,活用することによる児童の授業への参加意識の実態を調査した.その結果,①教師がいない環境である家庭においても,自ら外的リソースを選択して予習に取り組む児童がいること,②他者参照や教師のコメントという外的リソースの活用が,児童の予習への取り組みに対して成果の向上や意欲の高まりにつながる可能性があること,③情報端末を介した外的リソースを活用して予習に取り組むことで,93.0%の児童が授業への参加意識に関して肯定的に捉えていることが示唆された.
著者
南條 優 金松 萌々花 若月 陸央 吉田 康祐 佐藤 和紀
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.2, pp.214-221, 2023-07-21 (Released:2023-07-21)

本研究では,学習方法や学習形態を選択しながら学習している様子をイメージすることができるマルチアングル授業映像を,日常的に1人1台の情報端末を活用し学習の個性化に取り組もうとしている児童が視聴した際に,「学習の個性化」をイメージすることが可能であるかを,質問紙調査で評価を行い検討した.その結果,26名中23名の児童が「学習の個性化」をイメージできたと回答した.具体的には,自由記述で31件と最も多くみられた「学習方法」に関する気づきから,児童の情報収集の方法の違いなどをマルチアングルで確認することで,「学習の個性化」をイメージできた可能性が考えられた.
著者
丸山 浩平 森本 康彦 高橋 菜奈子 櫻井 眞治 宮内 卓也 小嶋 茂稔
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.2, pp.56-63, 2023-07-21 (Released:2023-07-21)

東京学芸大学では学生本位の学びの振り返りを促し,修得主義に基づく教員養成の実現を目指して「eポートフォリオ構築によるデジタル技術を活用した教育実習DX」を進め,本学附属学校園で行われてきた教育実習の教育実習日誌を電子的に扱い,実習の記録や指導・支援の記録を集約するシステム「教育実習日誌eポートフォリオ」(以下,実習ポートフォリオシステム)を開発した.そして実習ポートフォリオシステムを用いた附属学校園における教育実習の試行を実施した.本論文では,本学における教育実習日誌eポートフォリオの構築とその取組みの内容,試行に関する質問紙調査の結果について述べた.
著者
濵本 宗我 森田 裕介
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.4, pp.152-157, 2021-12-03 (Released:2021-12-03)

近時,日本の大学ではティーチングアシスタント(TA)が活用されている.TAは大学にとってのメリットのみならず,学生にとってもトレーニングの機会である等のメリットが存在する.TAは大学教員になるための訓練という形で捉えられることも多い.他方で,学生の進路は大学教員に限らない.より幅広い進路に関してTAを務めるメリットを検討する必要があると推測される.そこで,本研究では,TA経験者の,TA経験前後の汎用的スキルに関する主観評価をアンケートにより調査し,その変化を分析した.これにより,TA経験は「キャリア行動」の成長に資する一方で,エンプロイアビリティへの貢献は低いことなどが示唆された.
著者
加藤 奈穂子 尾澤 重知
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.3, pp.128-135, 2022-10-03 (Released:2022-10-03)

本研究の目的は,グループ学習型アクティブラーニング授業の学習支援活動に携わるTAの支援活動の特徴を明らかにすることである.そのために,大学院生1名,大学生4名を対象とし半構造化インタビューを行いM-GTAにより分析した.その結果,本研究の対象となった研究協力者は,TAの学習観や成長,先輩後輩TAから得た学びを【支援活動の源泉】とし,進捗確認,ポジティブフィードバック,リフレクションの支援,目標のストレッチを組み合わせた【受講生への学びの促進活動】と【教員との創発的分業】を行っていた.
著者
中村 瑠香 工藤 綾乃 南條 優 若月 陸央 萩原 ほのみ 森下 孟 佐藤 和紀
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.2, pp.68-75, 2022-06-27 (Released:2022-06-27)

本研究では,GIGAスクール構想下における,1人1台の情報端末のICTを活用した授業実践を把握し,小学校の授業実践に関するDXの現段階を検討することを目的として,2021年1月から2021年11月までに出版された「GIGAスクール構想」「1人1台端末」に関する書籍21冊に掲載された小学校の1人1台端末を活用した授業実践を,SAMRモデルを用いて分類した.その結果,①中学年になるとM・R(変換)の授業実践が増加すること,②教科全体ではS・A(強化)の授業実践が多いが,総合的な学習の時間ではM・R(変換)の実践が多いことが確認できた.
著者
松田 稔樹
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.2, pp.204-211, 2022-06-27 (Released:2022-06-27)

1990年代の大綱化で,大学教育における教養教育と専門教育の比重に変化が生じた.近年では,資格取得に直結したカリキュラムを強調する例もある.その一方で,中教審大学教育部会などが教養教育の重要性を強調し,欧米のリベラルアーツ教育を範にしたカリキュラムを提供する大学もある.これらの動向をふまえつつ,本稿では,一般(教養)教育と専門教育とを峻別しつつ,それらをどう連携させるべきか,筆者が初等中等教育の教育課程編成のために提案した「新・逆向き設計」の考え方を援用して,より良い大学教育カリキュラムを設計する視点について考察する.
著者
大井 良知
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.4, pp.259-264, 2021-12-03 (Released:2021-12-03)

現在,学校教育において動画を活用する教育方法が注目を集めている.そこで,高等学校において,ARCSモデルの「A」つまり,学習者の注意を喚起し,学ばせたい物事への注意を向けさせる方策の側面から生徒の学習意欲を高める動画の設計方法を考え,動画を作成し,生徒に視聴させた.その後の試験の成績やアンケートの結果から,ARCSモデルに基づいた設計の動画教材によって学習意欲は高まるということがわかった.