著者
金 樹英 西牧 謙吾 東江 浩美 田島 世貴 豊田 繭子 佐久間 隆介 篠原 あずさ
出版者
国立障害者リハビリテーションセンター(研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

特別支援教育の経験がなく不登校のASD青年を対象にショートケアを実施した。研究期間中に利用登録したのは11人で、就労移行支援サービスや進学などで卒業したのは5人、2年以上利用継続しているのは3人だった。ショートケア利用により親の総合的な精神的健康度は改善がみられた。外来通院患者で不登校の有無で比較したところ、不登校群の方が全検査IQ(FSIQ)、言語理解(VCI)、知覚推理(PRI)の得点が高く、ワーキングメモリー(WMI)、処理速度(PSI)では差がみられなかった。発達障害を伴う場合(N=22)では、同様のパターンがより顕著にみられた。
著者
酒井 奈緒美 森 浩一 金 樹英 東江 浩美
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.27-35, 2017 (Released:2018-03-15)
参考文献数
38
被引用文献数
1

吃音を主訴とする自閉性スペクトラム障害(以下ASD)の青年に対し,自身の流暢な発話場面のみからなる映像を視聴する,ビデオセルフモデリング(以下VSM)を導入した.最初に作成・提供した映像は,発話は流暢であるもののASDに特徴的な行動を含んでおり,症例が拒否的な反応を示したため視聴を中断した.その後,ASDの特徴を制御した発話行動を撮影してビデオを作成し直し,約3ヵ月の視聴を行った(言語訓練も並行して実施).その結果,①自由会話の非流暢性頻度の低下,②発話の自己評価と満足度評価の上昇,が認められた.視聴後の感想では,映像視聴によって自身の話せているイメージを初めてもてたことが報告された.自己モニタリングが難しいASDの特徴を有する吃音者へのVSM訓練は,映像がASDに関するセルフフィードバックとして機能する可能性に留意すべきという注意点はあるものの,吃音の問題改善に有効であることが示された.