著者
金 樹英 西牧 謙吾 東江 浩美 田島 世貴 豊田 繭子 佐久間 隆介 篠原 あずさ
出版者
国立障害者リハビリテーションセンター(研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

特別支援教育の経験がなく不登校のASD青年を対象にショートケアを実施した。研究期間中に利用登録したのは11人で、就労移行支援サービスや進学などで卒業したのは5人、2年以上利用継続しているのは3人だった。ショートケア利用により親の総合的な精神的健康度は改善がみられた。外来通院患者で不登校の有無で比較したところ、不登校群の方が全検査IQ(FSIQ)、言語理解(VCI)、知覚推理(PRI)の得点が高く、ワーキングメモリー(WMI)、処理速度(PSI)では差がみられなかった。発達障害を伴う場合(N=22)では、同様のパターンがより顕著にみられた。
著者
本田 由美 河内 美恵 金 樹英 西牧 謙吾
出版者
一般社団法人 日本小児精神神経学会
雑誌
小児の精神と神経 (ISSN:05599040)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.345-359, 2024-01-01 (Released:2024-01-05)
参考文献数
165

本論文では,2010年以降に発表された和文の自閉スペクトラム症の介入実践研究を概観した.キーワード検索で該当した和文文献4,171編を抽出条件(1.査読付き実践研究,2.2010 年~ 2021年発表,3.対象は本人,保護者,支援者,4.個別・グループ含む)に従い選択し,最終的に148編の論文を対象とした.その結果,(1)対象者は「本人」が最多で75.0%,次いで「本人と養育者」(12.2%),(2)対象年代は学童期(35.1%),乳幼児期(25.7%)が多数を占める,(3)最も活用されている介入法は行動的アプローチであり,一定の介入効果をあげている一方で,結果が一様でないケースもみられることなどが明らかとなった.今後の課題としては(1)青年期・成人期への介入研究の増加,(2)統制群や待機群を設定した研究実施,(3)多面的な評価や中長期的フォローの必要性があげられた.
著者
笹本 健 西牧 謙吾 徳永 亜希雄 玉木 宗久
出版者
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

特に周囲の人々から重度・重複障害児・者といわれ、さまざまな障害があり、知的にも低いと思われている人の中に、かなりの割合で通常に近い知的能力と文字表現能力を有している人が存在する可能性が示唆された。また、そのような人々に対する表出援助(STA)法の有効性について脳科学的な実証(測定)の基盤を築くことができたと同時に、実際的な文字表現の支援の方法について、事例を通して明らかにすることができた。