- 著者
-
太田 貴裕
松丸 祐司
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
- 雑誌
- 脳血管内治療 (ISSN:24239119)
- 巻号頁・発行日
- pp.oa.2018-0004, (Released:2018-08-06)
- 参考文献数
- 13
【目的】東京都多摩地区における血栓回収療法の現状と取り組みについて報告する.【方法】多摩地区は東京都の西半分を占めており,人口は約430 万人.限られた専門医・施設において血栓回収療法が行われている.血栓回収療法普及のため4 つの取り組みを行っている.1)血栓回収療法勉強会、多摩急性期虚血性脳卒中治療フォーラム(Tama Forum of Acute ischemic Stroke Therapy: Tama-FAST)の立ち上げ,2)情報共有,3)血栓回収療法の多施設登録研究(Tama-REgistry of Acute endovascular Thrombectomy: TREAT)の開始,4)救急隊への教育である.【結果】東京都脳卒中急性期医療機関は多摩地区では44 施設,そのうちtissue-plasminogen activator (t-PA)実施可能施設は33,血栓回収施行施設は13 である.血栓回収療法の勉強会を年3 回,合計9 回行い,顔の見える連携が構築され脳外科の急性期対応を行うための病病連携へつながった.2017 年4 月からは血栓回収療法の多施設登録研究を開始し,これまで600 例以上の症例登録があり今後データ解析予定である.【結論】多摩地区ではすでに血栓回収可能施設に症例が集まっており実質的な脳卒中治療センターとしての機能を果たしている.今後は血栓回収療法が必要な症例を優先的に治療施設に搬送する救急搬送システムを構築することを目指すなど,地域の特性をもとに血栓回収療法の治療機会を最大限有効利用できるように検討を進めていく必要がある.