著者
沖 明典 石川 博 丸島 愛樹 松丸 祐司 松村 明 豊村 順子 大山 晃弘
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

申請者らは、幹細胞が多いとされるヒト歯髄にも全能細胞(Muse細胞)[間葉系マーカー(CD20, CD105, CD90 陽性とES細胞マーカー (SSEA-3) 陽性)が存在することを発見した。そこで、歯髄由来のMuse細胞を天蓋培養して胚様体を形成させ、これを還流培養して3胚葉性の胚子様構造物を育てる。ここから中枢神経の原基を採取し初代培養する。このなかには中枢神経を構成する細胞がone set存在しているはずである。本研究は、胚子様構造体から中枢神経原基を採取し、脳梗塞やパーキンソン病の患者に自家移植できれば、感染、免疫、倫理の問題もなく極めて安全性の高い治療を開発できると考えた。
著者
太田 貴裕 松丸 祐司
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
脳血管内治療 (ISSN:24239119)
巻号頁・発行日
pp.oa.2018-0004, (Released:2018-08-06)
参考文献数
13

【目的】東京都多摩地区における血栓回収療法の現状と取り組みについて報告する.【方法】多摩地区は東京都の西半分を占めており,人口は約430 万人.限られた専門医・施設において血栓回収療法が行われている.血栓回収療法普及のため4 つの取り組みを行っている.1)血栓回収療法勉強会、多摩急性期虚血性脳卒中治療フォーラム(Tama Forum of Acute ischemic Stroke Therapy: Tama-FAST)の立ち上げ,2)情報共有,3)血栓回収療法の多施設登録研究(Tama-REgistry of Acute endovascular Thrombectomy: TREAT)の開始,4)救急隊への教育である.【結果】東京都脳卒中急性期医療機関は多摩地区では44 施設,そのうちtissue-plasminogen activator (t-PA)実施可能施設は33,血栓回収施行施設は13 である.血栓回収療法の勉強会を年3 回,合計9 回行い,顔の見える連携が構築され脳外科の急性期対応を行うための病病連携へつながった.2017 年4 月からは血栓回収療法の多施設登録研究を開始し,これまで600 例以上の症例登録があり今後データ解析予定である.【結論】多摩地区ではすでに血栓回収可能施設に症例が集まっており実質的な脳卒中治療センターとしての機能を果たしている.今後は血栓回収療法が必要な症例を優先的に治療施設に搬送する救急搬送システムを構築することを目指すなど,地域の特性をもとに血栓回収療法の治療機会を最大限有効利用できるように検討を進めていく必要がある.
著者
天野 達雄 佐藤 允之 寺西 裕 堀川 弘吏 太田 貴裕 松丸 祐司
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
Journal of Neuroendovascular Therapy (ISSN:18824072)
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, pp.238-244, 2015 (Released:2015-11-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1

要旨: 【目的】急性期脳梗塞症例に対する血栓回収療法において,血管内治療医が移動し血栓回収療法を行うMobile Endovascular-therapy Team(MET)という形態で病院間連携を行った.MET,患者転送症例における画像診断から治療までの時間を検討した.【方法】2012 年7 月から2015 年6 月までに,発症8 時間以内に血栓回収療法を開始したMET 症例(MET 群),転送症例(Transfer 群)を対象とした.治療開始をガイディングカテーテル(GC)留置時刻とし,初期画像撮影(画像)から治療開始までの時間推移を比較した.【結果】MET 群は55 例,Transfer 群は9 例だった.画像から穿刺時間(MET 群 vs. Transfer 群:54 分 vs. 128 分,p<0.0001),画像から治療開始時間(105 分 vs. 168分,p=0.0003),MET or 転送要請から治療開始時間(80 分 vs. 125 分,p<0.0001)はいずれもMET 群で有意に短かった.【結論】MET により血栓回収療法を遅延なく開始することが可能であり病院間連携の1 つとして有用な手段であると考えられる.