著者
松井 正之
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.83-87, 1988
被引用文献数
4

受注選択問題の純理論的モデルの解析については, いずれも生産能力が一定の場合に限定されている.他方, 生産能力が可変な能力切換問題は, 別個に論じられている.本研究は, 生産能力の切換えが可能な受注選択方策を持つジョブ・ショップの受注残数の制御方策について一考察を行っている.すなわち, 注文がポアソン到着に従うM<G, G>;/1(N)型生産モデルを提示し, セミ・マルコフ決定過程による定式化によって利得の最適化を行い, 能力切換えと受注選択の結合方策の2レベル構造に関する知見を示している.簡単のために, 受注選択には静的選択方策を採用し, 能力切り替えに要する時間と費用はゼロとしているが, 今後の展望としてこのモデルの拡張のみならず, 本研究と製品利益管理との関係を指摘している.
著者
松井 正之 内山 広樹 藤川 裕晃
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.139-145, 2005-06-15
被引用文献数
3 2

オンデマンドSCM環境下では,チェーンにおける在庫の適正水準をオンラインに管理することが,過剰在庫で売れ残りを抱えることや品切れの機会損失を減らすために必要である.特にPCなどの短サイクル製品においては,部品や製品の発注が多段階に影響し,生産・流通段階の各拠点で把握できる在庫変動をリアルタイムに捉えて迅速に対応することが必要である.それには,需給系列の変動を迅速に検出する機能が必要である.本研究では流動数図表上で,新聞売り子問題により設定された移動基準在庫量(インディケータ)を,累積和管理図のVマスク法で継続的にチェックしてアクション(投入)を行う管理法を開発した.この開発は,PCを流通しているA社の倉庫を対象に行われ,約42%の累積在庫削減が得られた.
著者
藤川 昇 松井 正之
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.54-64, 2010-06-15
被引用文献数
1

産学官連携による技術移転・事業化に際し,成功要因を分析することはきわめて重要であるが,これまで定性的な事例報告が多く,要因についての数理的な検討はなされていない.本研究は,まず,売上げ実績があるため「成功」として官公庁が公開している100事例を用い,成功要因の実証的分析を行った.次に,その成功要因をもとに,多変量解析による分析を加え,シーズとニーズのマッチング等コーディネートの基本機能とシーズの魅力を高める付加価値向上機能の貢献度,およびコーディネータの現状の姿を明らかにしたほか,産学官連携のモデル化を試みた.その結果,技術移転・事業化の成功率を上げるための効果的なマネジメントの手がかりを得るとともに,コーディネータ育成の方向が示された.
著者
松井 正之 高橋 義久
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.262-272, 2004-12-15
被引用文献数
1

SCM時代の到来によって, 需給マネジメントに関する関心が高まっている.我々は, 需給マネジメントのeラーニング開発を行い, その過程で需給対応のマネジメント問題としてそのマッチングのあり方に関心をもった.本論文では, 需要にマッチした良い生産計画とは何かを考えさせるeラーニング法を開発して, そのなかで有効な決定規則を与える松井のペア行列表に基づいた(N, α)戦略マップを提案している.これは, 経済性に基づいて, 最適な平滑化定数α(出力変数)と基準在庫量N(入力変数)の最適な組み合わせを与える.その結果, 需給マネジメントでは, 予測情報の正確さがすべてではなく, 頑健性の重要さを示している.