著者
松尾 剛行
出版者
情報ネットワーク法学会
雑誌
情報ネットワーク・ローレビュー (ISSN:24350303)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-23, 2018-11-29 (Released:2020-01-16)

法務を情報テクノロジーで支援するリーガルテックの成長が著しい。高度化、効率化や低価格化等の便益の享受が期待されるものの、司法試験に合格して司法修習を受け、質が担保されている弁護士や弁護士法人と異なり、質の低いものが含まれるリスクも否定できない。ここで弁護士・弁護士法人以外が報酬を得る目的で法律事件について法律事務を行うこと等を業とすることを禁止する弁護士法72条は、「人間」の非弁業者に対する同様のリスクの対策のために規定されている。本稿は、弁護士法72条のリーガルテックへの適用の可能性と、その課題等について考察する。
著者
松尾 剛行
出版者
情報法制学会
雑誌
情報法制研究 (ISSN:24330264)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.66-78, 2021 (Released:2022-01-31)
参考文献数
44

プラットフォームが、当該サービスのユーザのアカウントを停止、凍結等することは、現代において頻繁に見られる。確かに、アカウントの停止・凍結等をせざるを得ない場合はあるだろう。しかし、そのようなプラットフォームの判断が誤っている場合に、ユーザ側にはどのような私法上の救済があり得るのだろうか。本稿は、筆者が弁護士としてVtuberを代理して国際動画共有プラットフォームを提訴した具体的な案件の紹介を通じて、この問題に関する議論に一石を投じることを試みるものである。
著者
松尾 剛行 小松 詩織
出版者
情報ネットワーク法学会
雑誌
情報ネットワーク・ローレビュー (ISSN:24350303)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.67-89, 2023-11-17 (Released:2023-11-17)

ブレインテックと呼ばれる脳神経情報を利用した技術の進展に伴い、脳神経法学と呼ばれる法分野が注目を集めている。本稿は、プライバシーと個人情報保護法の領域において脳神経情報がどのように取り扱われるべきかについて検討する。具体的には、入力型、出力型及び介在型の3類型の事例を用いて、個人情報保護法と民事法上の情報プライバシーの観点から分析する。
著者
松尾 剛行
出版者
情報ネットワーク法学会
雑誌
情報ネットワーク・ローレビュー (ISSN:24350303)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.68-88, 2022-12-15 (Released:2022-12-23)

ランサム攻撃は、ランサムウェア攻撃とも呼ばれるところ、ランサムウェアと呼ばれる不正プログラムを使用し、攻撃先の端末上のデータを暗号化する等して、その復旧と引き換えに(身代金として)金銭を脅し取ろうとするサイバー攻撃と定義される。本稿は、このようなランサム攻撃が、個人情報保護法、民法、及び会社法にハードケースをもたらすことから、ランサム攻撃と法に関する解釈の進展を試み、また、情報セキュリティと法の議論枠組みにランサム攻撃の問題を当てはめることで、議論枠組みの進展及び立法の可能性についても論じるものである。