著者
檜垣 俊介 稲井 玲子 松尾 達博
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.223-227, 2022 (Released:2022-10-19)
参考文献数
24
被引用文献数
1

希少糖とは, 自然界に存在量が少ない単糖である。その一つであるᴅ-アルロースは, これまでの研究から, 抗肥満・抗糖尿病など種々の有益な効果を発揮することが明らかにされている。一方, 落葉性潅木の一つであるズイナは, 希少糖ᴅ-アルロースとアリトールを大量に含むが, ズイナそのものの摂取による機能性を検討した報告はない。そこで本研究では, ズイナ乾燥粉末5%添加食をラットに摂取させ, ᴅ-アルロースと同様に体脂肪蓄積抑制作用があるか否かを検討した。3週齢のWistar系雄性ラット16匹を2群に分け, それぞれ対照食およびズイナ食を自由摂食させて8週間飼育した。体重増加量, 摂食量, および食餌効率には, 2群間に差は見られなかったが, 屠体脂肪量および総体脂肪量は, 対照群に比べてズイナ食群で有意に小さかった。これらのことから, ラットにおいてズイナ乾燥粉末には体脂肪蓄積抑制作用があることが示唆された。
著者
松尾 達博
出版者
香川大学農学部
雑誌
香川大学農学部学術報告 (ISSN:03685128)
巻号頁・発行日
vol.65, no.118, pp.33-39, 2013-02

D-プシコースは自然界に僅かしか存在しない希少糖の一つである。本研究では,D-プシコースが菓子食品摂取後の血糖反応を抑制するか否かについて,健常者を対象に検討した。実験1では,20名の男性および26名の女性被験者を摂取する試験食品によって3群(マシュマロ,かりんとう,チョコレート)に分けた。45gの糖質を含む試験食品と5gのD-プシコースあるいはD-フルクトースを含むコーヒーを各群の被験者に摂取させた結果,いずれの試験食品についても被験者の食後血糖値は,D-フルクトース入りコーヒーを摂取した場合に比べて,D-プシコース入りコーヒーを摂取した場合で低値であった。実験2では,男女各5名の被験者に5gのD-プシコースあるいはD-フルクトースを含むケーキ,杏仁豆腐,クッキー,かりんとう,生チョコレートを摂取させた。その結果,杏仁豆腐および生チョコレートについて,被験者の食後血漿グルコースおよびインスリン濃度はD-フルクトース入り食品を摂取した場合に比べて,D-プシコース入り食品を摂取した場合で低値であった。以上の結果から,D-プシコースは菓子食品摂取後の血糖値上昇抑制作用を有することが示唆された。
著者
松尾 達博
出版者
香川大学農学部
雑誌
香川大学農学部学術報告 (ISSN:03685128)
巻号頁・発行日
vol.65, no.118, pp.33-39, 2013-02

D-プシコースは自然界に僅かしか存在しない希少糖の一つである。本研究では,D-プシコースが菓子食品摂取後の血糖反応を抑制するか否かについて,健常者を対象に検討した。実験1では,20名の男性および26名の女性被験者を摂取する試験食品によって3群(マシュマロ,かりんとう,チョコレート)に分けた。45gの糖質を含む試験食品と5gのD-プシコースあるいはD-フルクトースを含むコーヒーを各群の被験者に摂取させた結果,いずれの試験食品についても被験者の食後血糖値は,D-フルクトース入りコーヒーを摂取した場合に比べて,D-プシコース入りコーヒーを摂取した場合で低値であった。実験2では,男女各5名の被験者に5gのD-プシコースあるいはD-フルクトースを含むケーキ,杏仁豆腐,クッキー,かりんとう,生チョコレートを摂取させた。その結果,杏仁豆腐および生チョコレートについて,被験者の食後血漿グルコースおよびインスリン濃度はD-フルクトース入り食品を摂取した場合に比べて,D-プシコース入り食品を摂取した場合で低値であった。以上の結果から,D-プシコースは菓子食品摂取後の血糖値上昇抑制作用を有することが示唆された。
著者
檜垣 俊介 松尾 達博
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.114-120, 2018-06-25 (Released:2018-07-21)
参考文献数
10

希少糖の1つであるd-アラビノースの機能性食材としての利用の可能性を検討するために,ラットに50%(w/v)のd-アラビノース溶液を10~14 g/kgの範囲で段階投与し,急性毒性試験を行った.その結果,半数致死量(LD50)は,雄で12.1 g/kg,雌で11.6 g/kgと算出され,普通物であることが示唆された.一方,短期毒性試験では,今回の実験における食餌中への最小添加量である5%添加でもd-アラビノースの影響と思われるいくつかの症状が認められたことから,無毒性量は5%添加未満と推定された.すでに食品素材として利用されている希少糖d-プシコースは,10%の食餌への添加で毒性が見られないと報告されていることから,d-アラビノースはd-プシコースに比べて毒性が強いと推察された.以上の結果から,d-アラビノースを機能性食材として利用できるか否かについては,さらに詳細な検討を要すると考えられた.
著者
松尾 達博
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.215-219, 1996-08-10
参考文献数
8
被引用文献数
1

ビールと高脂肪食の同時摂取が食後のエネルギー代謝に及ぼす影響について検討した。<BR>健常男性3名にビールと高脂肪食あるいはノンアルコールビールと高脂肪食を摂取させ, 食後3時間にわたってエネルギー代謝を測定した。その結果,<BR>1) ビールと高脂肪食の同時摂取は, ノンアルコールビールと高脂肪食の同時摂取に比べて, 食後の炭水化物および脂質のエネルギー化が有意に小さかった。<BR>2) 食後のエネルギー消費量にはビールと高脂肪食およびノンアルコールビールと高脂肪食の間で差は見られなかった。
著者
松尾 達博
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.379-387, 2003-12-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
32
被引用文献数
2 5

高飽和脂肪食 (牛脂食) が高多価不飽和脂肪食 (紅花油食) に比べて体脂肪蓄積を増大させるメカニズムを解明するために, 特に牛脂食摂取による交感神経活性の低下に着目し, ラットを用いて検討した。牛脂食摂取ラットは紅花油食摂取ラットに比べて, 食餌誘発性体熱産生 (DIT) が低く, 脂肪の合成・蓄積に作用する血清インスリン濃度が高い。これらのことに関して, DITの主要器官である褐色脂肪組織 (BAT) およびインスリンを分泌する膵臓について, 交感神経活性が紅花油食群に比べて牛脂食群で低下していることを示した。紅花油食群に比べて牛脂食群で, 血清中性脂肪濃度は1日を通じて高値であるが, その原因は血中中性脂肪の活性組織への取込み低下と肝臓の脂肪合成の増大による。これらのメカニズムについて, 心筋, 骨格筋, BATおよび肝臓の交感神経活性の低下が関与していることを明らかにした。また, 牛脂食群での末梢組織の交感神経活性低下の一因として, 視床下部機能の関与を示した。
著者
松尾 達博 路 暢
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
生物工学会誌 : seibutsu-kogaku kaishi (ISSN:09193758)
巻号頁・発行日
vol.89, no.7, pp.401-403, 2011-07-25

D-プシコースはD-フルクトースのC-3エピマーであり,自然界に非常に僅かしか存在しない希少糖の一つである.これまでに動物実験やヒト経口糖負荷試験において,D-プシコースの食後血糖値上昇抑制作用が報告されている.本研究では,日常生活条件下におけるD-プシコースの食後血糖値上昇抑制作用について,健康な成人男性15名および成人女性29名を対象として検討した.実験食として予め各被験者に日常的な昼食(男性:636kcal,炭水化物量87.6g,女性:513kcal,炭水化物量18.9g)を設定させた.実験当日,各被験者に実験食とともにD-プシコース6gあるいはD-フルクトース6gを市販無糖紅茶に添加した飲料を摂取させた.摂取前および摂取開始後30,60,90,120分に小型血糖測定器で血糖値を測定した.全体および男女別のいずれの場合でも,被験者の食後血糖値はD-フルクトース飲料を摂取した場合に比べて,D-プシコース飲料を摂取した場合で有意に低値であった.日常的な食事とともにD-プシコース飲料を摂取した場合でも食後血糖値上昇抑制効果が確認されたことから,D-プシコースが2型糖尿病や肥満の予防・解消に有効な機能性食材である可能性が示唆された.