著者
松山 早希 大坊 郁夫 谷口 淳一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.464, pp.73-78, 2012-02-27

われわれは、いつも同じ自分を表出しているのではなく周囲の状況や対人関係に応じて自分を変化させ異なる自分を多面的に表出している。その背景には、自己の可変性によって適応的な関係を築きたいという動機が考えられる。本研究の目的は、相互作用の相手のパーソナリティによって、表出される自己が普段とどう異なるか、また普段の自分からの変化が大きいほど、会話満足度や親密度を高めるかを検討するものである。本研究では、実験は男女大学生、同性同士2者間で12分間の会話実験を行なった。会話は親密になるように自由な内容で行われた。本研究では、外向性に着目し対象者の外向性を高群・中群・低群に分け、ペアを組み合わせた。分析の結果、変化の程度が大きいほど、相手との親密度が高まることが明らかとなった。また会話相手の外向性や表現力、自己抑制の社会的スキルが、変化の程度に影響していた。自己変容の適応的な対人コミュニケーションにおける可能性について考察する。
著者
大坊 郁夫 松山 早希 藤原 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.393, pp.21-26, 2012-01-13
被引用文献数
1

本研究の目的は,解決課題の有無を条件とした4人集団会話におけるコミュニケーション行動と葛藤認知,心理的な満足度等の評定との関連について,個人の社会的スキル,パーソナリティ特徴,参加者の性差等の観点から検討することである.本研究の対象は男女大学生による約35分間の話し合い59組(課題解決条件45組,チャット条件14組)であった.課題解決条件は意見を出し合うことに伴う葛藤が高まりやすいものの,同時に参加度,満足度も高かった.また,時間内に正解に達した組では関係葛藤や参加度が高かった一方で,非言語的な表出スキルは必ずしも要されていなかった.チャット条件では社会的外向性や非言語的な表出スキルなどの個人特徴が有意な効果を示していた.話し合いに対する満足感は,課題解決条件では話し合いへの積極的な関与が,チャット条件ではメンバーへの配慮が各々重要な要因であった.集団場面での課題解決には主張,他者認知,傾聴,関係調整等の多くの社会的スキルが必要になり,トレーニングの有効なプログラムとして今後の活用がさらに期待される.