- 著者
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松崎 行代
- 出版者
- 飯田女子短期大学
- 雑誌
- 飯田女子短期大学紀要 (ISSN:09128573)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, pp.45-65, 2004-05-27
長野県下伊那郡阿南町新野に室町時代より伝わる雪祭りは,国の重要無形文化財に選定され,民俗学的にも高い研究価値を認められている.長い歴史の中でムラの人々の生活に根付き伝承されてきたこの祭りは,ムラビトの心の拠り所と言える.本稿では,雪祭りに参加する子どもたちの現状を平成15・16年の2年間にわたる調査から報告するとともに,その中に見られる子どもたちの育ちについて考察した.子どもたちは祭りの仕事・役割を通して自己の存在を確立させ,ムラに対する愛着感を一層深め,また自然(神)に対する畏敬の念を知った.伝統芸能などの地域文化は多様で縦走的であり,そこに潜む教育力は大変大きい.本稿を礎に,伝統芸能と子どもについて児童文化的見解を深めていきたい.