著者
清水 茂雄
出版者
飯田女子短期大学
雑誌
飯田女子短期大学紀要 = Bulletin of Iida Women's Junior College (ISSN:09128573)
巻号頁・発行日
no.38, pp.1-121, 2021-05-27

本論文(「その2」)において,『古事記の言象学的構造』と題される論文の第2章の全体が展開される.「第2章」では,『古事記』の「火の神(ヒノヤギハヤヲノ神)」誕生から三貴子と言われる「アマテラス大御神」・「ツクヨミノ命」・「スサノオノ命(タケハヤスサノヲノ命)」誕生までの言象学的文法論的解明を行う.これらの神々の系譜の底辺には,述語が「主語の述語」に「成る」ことを開始してから,動詞に至るまでの言象学的文法論的プロセスが横たわっている.述語は自身の生まれ故郷の村(「始原の言葉」の領域)から出て行き,そこからの呼びかけの声(イザナミ)を振り切って(イザナキのイザナミからの離別)都会へと去る.述語が至った都会が,言象学的文法論的には,「論理的領域(「有るものが有る」の世界)」と言われるところ,いわゆる「この世」である.ここに,述語の生まれ故郷の村は,秘密に閉ざされて「無」となってしまい,有と無の論理的対立と「生と死」からなる生命の世界が生起する.
著者
清水 茂雄
出版者
飯田女子短期大学
雑誌
飯田女子短期大学紀要 = Bulletin of Iida Women's Junior College (ISSN:09128573)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1-123, 2016-05-27

Die logo-phenomenologische Erläuterung zu Amitayurdhyana Sutra besteht aus twei Teilen. Der erste Teil enthält die Erörterung über die Beziehung zwischen der Philosophie Heideggers und Amitayurdhya Sutra. Aber der zweite Teil soll die logo-phenomenologische grammatische Dialektik, die hinter der Temporalität in der Philosophie Heideggers liegt, entfalten. In dem zweiten Teil stehen wir hinter der Temporalität. Die zweite Hälfte dieser Abhandlung gehört dem zweiten Teil. Der hinter der Temporalität liegende Bereich heißt <der grammatische Bereich>, der das Element der logo-phenomenologischen grammatischen Dialektik ist. Der kursive Ausdruck bedeutet hier die logo-phenomenologische grammatische Sache. Die <Welt> in 《Sein und Zeit》 ist <der logische Bereich>, der gegenüber dem grammatischen Bereich liegt. Der Bereich zwischen dem logischen Bereich und dem grammatischen Bereich ist Werden oder der transitive Bereich. Dieses <Werden>, aus dem logischen Bereich gesehen, soll als das <Ereignis> in der Philosopie Heideggers angesehen werden. Indem die logo-phenomenologische grammatische Dialektik vollends entwickelt wird, daraus folgt, daß Amitayurdhyana Sutra das ursprüngliche Wesen der <Zeit> bildlich verdeutlich.
著者
奥井 現理
出版者
飯田女子短期大学
雑誌
飯田女子短期大学紀要 (ISSN:09128573)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.37-47, 2011-05-27

J.S.ミルの性格形成論は,自由意志論にではなく,必然論に依拠している.そうであれば,人間の性格形成は,あらゆる自然現象と同様に,因果関係をそこに見いだすことができる現象として想定されているのでなくてはならない.その際,人間の自由意志を第一原因とするのでなければ,究極的には,人間は自らの性格を自由に形成しているとはいえないのではないかという疑問が残されることになる.その一方でミルは,ロバート・オーエンの,いわゆる環境決定論を批判し,人間は自由に自らの性格を形成すると述べている.本稿では,ミルのオーエン批判を検討することを通して,ミルが批判したのは,オーエン理論の,性格形成論としての過度な単純さであって,環境決定論そのものではないこと,さらに,ミルは,自由意志を第一原因とすることが性格形成の自由の前提条件であるとは考えていないことが明らかにされる.
著者
OSTERMANN Wolf-Uwe
出版者
飯田女子短期大学
雑誌
飯田女子短期大学紀要 (ISSN:09128573)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.29-36, 2007-05-27

Obwohl Englisch die erste Fremdsprache in Japan ist, sprechen es die meisten Japaner entweder kaum oder so mangelhaft, daβ eine Kommunikation auf Englisch nicht zustande kommt (mit Ausnahme des wirtschaftlichen Bereiches). Die vorliegende Arbeit befaβt sich mit den allgemeinen und speziellen Ursachen dieses Phänomens.
著者
安富 和子
出版者
飯田女子短期大学
雑誌
飯田女子短期大学紀要 = Bulletin of Iida Women's Junior College (ISSN:09128573)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.69-88, 2017-05-27

加工食品等の食べ物の軟食傾向により,あまり噛まなくてもすむ食生活の弊害として,子どもたちの顎が小さくなり,不正咬合や歯肉炎等の問題を持つ児童生徒が増加傾向にある.そのため学校給食においても噛めない,噛まない,飲み込めないと言った食べ方に問題のある子どもたちが増加している傾向がある. 小中学校で長年養護教諭をしていた筆者は,そのような子どもたちの食の現状を目の当たりにし,子どもたちに良く噛んで食べる食習慣を身につけさせるため,平成13年度より長野県下で様々な咀嚼啓発活動に取り組んできた.本報告はその中でも,特に平成26・27・28年度の大学地域連携事業において,学校・家庭・地域と連携した咀嚼啓発活動を行った内容をまとめたものである. その内容は,1.かみかみリレーの実施,2.かみかみカレンダーの発行,3.咀嚼啓発キャラクター「かみかみ大使カミン」の活動,4.おにぎり1個の咀嚼回数と時間の測定,5.かみんこうやの開発,6.相撲界と高野豆腐,7.老舗和食料亭のお弁当,8.歯・咀嚼の啓発サポーター養成講座,9.かむ意識を育てる親子健康教室,10.学校給食と牛乳のドリンクタイム,11.咀嚼啓発紙芝居とパネルの作製,12.カミンの歌とカミンダンスの作製の12項目である.それらの活動の結果,子どもや保護者,地域における咀嚼の意識が高まってきていることが伺える.更に今後は,行政・歯科医師会・食品会社等の関係機関と連携を深めながら咀嚼の啓発活動を行っていきたいと考えている.
著者
片桐 充昭 友竹 浩之 奥山 涼子
出版者
飯田女子短期大学
雑誌
飯田女子短期大学紀要 (ISSN:09128573)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.67-72, 2004-05-27

伊那地域(長野県上伊那郡,下伊那郡等)では食文化の一つとして,昆虫食の習慣がある.本研究では,食材としてのスズメバチ幼虫の栄養学的特性を明らかにすることを目的とした.今回用いた試料はクロスズメバチおよびキイロスズメバチの2種の幼虫および蛹であった.スズメバチ幼虫のタンパク質含量はクロスズメバチ15.1g/100g,およびキイロスズメバチ22.7g/100gで,肉類,魚介類に匹敵する含有量であった.タンパク質構成アミノ酸を分析するため,6N塩酸加水分解法でタンパク質を分解し,アミノ酸自動分析装置で,個々のアミノ酸量を求めた.アミノ酸スコアは1985(FAO/WHO/UNU) (2~5歳)パタンおよび1973(FAO/WHO)パタンによって求めた.1985(FAO/WHO/UNU) (2~5歳)パタンによると,クロスズメバチおよびキイロスズメバチの幼虫は共にアミノ酸スコアが100であり,良質な動物性タンパク質であることを確認できた.
著者
岩瀬 彩香 友竹 浩之 安富 和子 木下 智恵子 竹村 香 奥井 現理 武分 祥子
出版者
飯田女子短期大学
雑誌
飯田女子短期大学紀要 = Bulletin of Iida Women's Junior College (ISSN:09128573)
巻号頁・発行日
no.34, pp.89-95, 2017-05-27

第21回学内研究集談会抄録(抜粋)、会場:飯田女子短期大学視聴覚室、日時:平成29年2月9日(木)9:00~12:10
著者
武分 祥子 菱田 博之 川手 弓枝 安富 和子
出版者
飯田女子短期大学
雑誌
飯田女子短期大学紀要 = Bulletin of Iida Women's Junior College (ISSN:09128573)
巻号頁・発行日
no.36, pp.91-96, 2019-05-27

第23回学内研究集談会抄録(抜粋)、会場:飯田女子短期大学視聴覚室、日時:平成31年2月14日(木)9:00~11:15
著者
庄司 洋江 塩沢 千文
雑誌
飯田女子短期大学紀要 (ISSN:09128573)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.25-36, 2009-05-27

子どもの豊かな音楽活動を育む保育内容「表現」のあり方を考えるために,長野県下伊那郡高森町有線放送が20年間継続している番組「我が家の主役たち」の記録から,1,215名の音楽表現954件,201曲を分析した.その結果,子どもの歌は変わることなく歌い継がれていることがわかった.そして,1)36ヵ月児には豊かな音楽表現がある2)36ヵ月児の歌唱行動には個人差がある3)36ヵ月児はたくさんの歌に囲まれているの3点を明確にした.これらのことから,保育者は子どもの表現活動を受け入れ,子どもに寄り添った活動を行い,環境を整えることが重要であることを確認した.
著者
松崎 行代
出版者
飯田女子短期大学
雑誌
飯田女子短期大学紀要 (ISSN:09128573)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.45-65, 2004-05-27

長野県下伊那郡阿南町新野に室町時代より伝わる雪祭りは,国の重要無形文化財に選定され,民俗学的にも高い研究価値を認められている.長い歴史の中でムラの人々の生活に根付き伝承されてきたこの祭りは,ムラビトの心の拠り所と言える.本稿では,雪祭りに参加する子どもたちの現状を平成15・16年の2年間にわたる調査から報告するとともに,その中に見られる子どもたちの育ちについて考察した.子どもたちは祭りの仕事・役割を通して自己の存在を確立させ,ムラに対する愛着感を一層深め,また自然(神)に対する畏敬の念を知った.伝統芸能などの地域文化は多様で縦走的であり,そこに潜む教育力は大変大きい.本稿を礎に,伝統芸能と子どもについて児童文化的見解を深めていきたい.
著者
林 晋子 山本 由紀子 菱田 博之 相澤 里美 宮下 幸子
出版者
飯田女子短期大学
雑誌
飯田女子短期大学紀要 = Bulletin of Iida Women's Junior College (ISSN:09128573)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.253-264, 2016-05-27

保育者養成校が設定するカリキュラムマップ(教育目標)をどの程度達成しているかは,学生による自己評価や養成校教員による評価だけでなく,実際に保育者として従事した現場の評価からも検討する必要がある.本研究では卒業生の就職した幼稚園や保育所,施設の代表者を対象に質問紙調査を行い,養成校の教育目標がどの程度達成されているか,また達成されていないかを検討することを目的とした.その結果,20項目中15項目に有意差がみられ,「専門機関との連携」以外の項目は平均値以上の値を示していることから,教育目標は概ね達成されていることが明らかとなった.自由記述においては,養成校で指導している知識や技術よりも勤務への態度や健康管理に関することが高く評価された一方で,保護者や保育者とのコミュニケーション能力や積極的・主体的な姿勢が課題であることが明らかとなった.また,養成校に期待する点は社会人としての人間性やマナー,文章表現,基礎学力であることが明らかとなった.したがって,教育目標は概ね達成されてはいるものの,今後は知識や技術が定着するように授業構成を工夫することや社会人としての人間性やマナーを身につける機会を増やすこと,コミュニケーション能力が高まるように保護者や保育者と関わる機会を増やしていくことが必要であると考えられる.
著者
及川 直樹
出版者
飯田女子短期大学
雑誌
飯田女子短期大学紀要 = Bulletin of Iida Women's Junior College (ISSN:09128573)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.1-25, 2015-05-27

幼児のチーム対抗のサッカー遊びにおけるルールの実態を把握し,遊びの方向性を定め,発展を支える要因を検討した.対象は,長野県内にある私立幼稚園の年長A組であった.週1回,自由遊び時間におけるサッカー遊びを参与観察した.各観察日のサッカー遊びにおいて,ルールを適用した場面など意味的にまとまりのある場面を一つの事例とし,事例間の比較検討などを行った.その結果,サッカー遊びの方向性を定め,発展を支えていたのは,幼児の 「本当のサッカー」 への志向性の高まり,ボールを扱う技術の向上とそれに伴う動きの質的変化,チーム内での仲間意識やチーム対抗の意識の高まりの3つの要因であり,これらは複合的に関連しながら遊びの発展を支えていた.以上をもとに,サッカー遊びでは,遊びの目標を損なわず,園や幼児の実態に合わせた必要最小限のルールを導入し,幼児が工夫して遊びを展開できるように援助するのが望ましいと推察された.
著者
小笠原 京子
出版者
飯田女子短期大学
雑誌
飯田女子短期大学紀要 = Bulletin of Iida Women's Junior College (ISSN:09128573)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1-58, 2012-05-27 (Released:2012-10-26)

本研究は,離職率の高いとされる新人介護職員に対する研修の整備が社会的に解決すべき課題と位置づけ,個別性を重視した研修の効果の検討を目的として行った.介護現場の研修の必要性は広く認識されているものの,指導者不足や人員不足等により,十分な研修が行われているとは言いきれない.長野県内の特養を対象に行った新人研修に関する実態調査では,ほとんどの施設において新人研修は実施されているが,中途採用者に対する実施率は低く,研修の内容や方法にも差が見られた.また,協力を得られたA特養の新人職員に対して,自己評価とインタビュー調査を行った結果,研修体系を整えるだけでは解決されない問題があることが明らかになった.さらに,その新人職員の課題に対して事例検討を行い,それぞれ介入した研修の効果を検証した結果,個別性を重視した研修が,新人職員の課題解決に一定の効果があることを示した.