著者
松崎 裕子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.422-427, 2012
参考文献数
31

組織アーカイブズとしてのビジネス(企業)アーカイブズは「多様な価値を持つ経営資産」である。現在国内外では,組織内アーカイブズの価値を高め,それを通じた親組織の経営の質の向上に寄与するアーカイブズの活用が進められつつある。一方,記録管理(レコードマネジメント)とアーカイブズを結び付けるレコードキーピングの未確立,組織内アーカイブズへのアクセスに関する相反する考え方の存在,アーカイブズ理念とそれに連動する評価選別に関する考え方の未整理,アーカイブズ担当者(アーキビスト)が業務に精通し付加価値を生み出すための教育研修のあり方,海外現地法人のアーカイブズ管理の困難さ,といった課題が存在している。
著者
松崎 裕子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.34-39, 2019-01-01 (Released:2019-01-01)

近現代の日本では官民を問わず,「活動の過程で作成あるいは受領した記録を管理する」という,固有の組織内機能,すなわちレコードキーピングに関わる機能の十分な発達が見られなかった。しかし,2009年に「公文書等の管理に関する法律」が制定されて以降,レコードキーピングに携わるアーキビストやレコード・マネージャーの職務に関する議論も進みつつある。本稿では公文書管理を専門とするアーキビスト,社会運動に関わる記録資料を管理するアーキビスト,レコード・マネジメントとアーカイブズ管理を対象とする独立コンサルタント,企業アーカイブズ振興に携わるアーキビストの4つの事例を紹介し,日本におけるアーキビストとレコード・マネージャーのキャリアパス形成の未来について展望する。
著者
野村 武男 松崎 裕子
出版者
日本生理人類学会
雑誌
The Annals of physiological anthropology (ISSN:02878429)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.267-271, 1985-07-01
被引用文献数
1
著者
松崎 裕子
出版者
日本アーカイブズ学会
雑誌
アーカイブズ学研究 (ISSN:1349578X)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.34-54, 2014

<p>本稿では、日本において組織アーカイブズとしての企業アーカイブズが持続可能であるための優先課題を考える。まずアーカイブズは、企業活動における価値創出に貢献することが必要である。しかし「日本的経営」には「企業内異動と内部昇進」や「新規学卒一括採用」等の特徴があり、専門の大学院課程修了者がアーカイブズ専任正規従業員として新規に採用されることは構造的に難しい。本稿では関係者への聞き取りを基に、アーカイブズが経営の意思決定機関の近くに位置づけられることの重要性、経営層への働きかけ、とりわけCSR的観点からのアーカイブズの今日的意義の強調の必要性、社内異動者に対する効果的研修プログラムの開発と専門的な教科書の必要性、といった点を提起する。</p>