著者
國崎 貴嗣 白旗 学 松木 佐和子
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.401-404, 2021-12-01 (Released:2022-04-08)
参考文献数
26

過密なスギ若齢,壮齢林計5林分を対象に,樹冠長と直近5年間の平均胸高直径成長量との対応関係を調べた。林木の胸高直径成長がほぼ停止する胸高直径の閾値は林分で異なるのに対し,樹冠長の閾値はいずれの林分でも4.0 mとなり,樹冠長4.0 m未満の平均胸高直径成長量は0~0.04 cm/年と,全く,あるいはほとんど成長していなかった。樹冠長が4.0 m以上の林木を対象に,樹冠長から4.0 mを減じた差引き樹冠長と直近5年間の平均胸高直径成長量との関係を共分散分析で解析し,胸高直径を共変量とした共分散分析モデルと比較した。その結果,後者の自由度調整済み決定係数は前者のそれより明らかに高かった。スギ過密林での間伐木選定にあたっては,樹冠長4.0 m未満の林木を胸高直径成長停止木,樹冠長4.0 m以上の林木については胸高直径が大きいほど活力のある林木として判断すれば良いと考えられる。
著者
大野 泰之 渡邊 陽子 松木 佐和子 滝谷 美香
出版者
地方独立行政法人北海道立総合研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

食葉性昆虫の大発生した広葉樹二次林において,健全なウダイカンバが衰退(枝枯れ)・死亡に至る過程を明らかにした。観察した二次林では2006-2008年の3年間に食葉性昆虫の大発生が確認された。顕著な衰退は2009年に認められ,観察木の15%は樹冠部の枝の50%以上が枯損した重度の衰退木であった。解析の結果,食葉性昆虫が大発生する以前の20年間(1986-2005年)の年輪幅が狭く,食害の程度が大きかった個体ほど,重度の衰退木となりやすかった。これらの衰退木の約80%がその後の2年間に死亡した。これらの結果から,長期間の低成長は食害に対する感受性を増加させ,その後の衰退に影響する可能性が高い。
著者
松木 佐和子 渡邊 陽子 大野 泰之
出版者
岩手大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

アンケート調査から、クスサンは北海道全域および北東北3県に広く分布していることが明らかになった。クスサン幼虫の摂食試験により、これまで食樹として知られている他の広葉樹よりもウダイカンバを与えたクスサンの生存率・成長率が高かった。また、ウダイカンバ成木の春葉では幼虫の生育は良好だったが、成木の夏葉や稚樹葉では不良であった。以上のことから、北海道で見られるようなウダイカンバ成木の純林はクスサン被害のリスクが高い森林だと言える。東北地方でも不成績造林地などに侵入したウダイカンバの蓄積や林齢は増しており、そのような場所では注意を要する。
著者
松木 佐和子
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.105-108, 2004-09-30
参考文献数
1