著者
野村 収 澁谷 智義 長田 太郎 松本 健史 坂本 直人 北條 麻理子 永原 章仁 荻原 達雄 渡辺 純夫 増田 淳
出版者
消化器心身医学研究会
雑誌
消化器心身医学 (ISSN:13408844)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.23-25, 2014 (Released:2014-09-01)
参考文献数
7

【症例】24歳男性。元来内気で真面目な性格であったがこれまで社会生活に問題はなかった。2年前より家族との会話も徐々になくなり,また外出もしなくなり1日中自室に籠もるようになった。今回,腹痛と頻回の排便に家族が気付き当院受診となった。受診時に38℃台の発熱,腹部に高度な圧痛と反跳痛,下痢,著明な貧血と高度栄養不良があり緊急入院となった。下部消化管内視鏡検査ではS状結腸から横行結腸にかけて縦走潰瘍を認め,生検組織検査にて非特異的肉芽腫が検出されクローン病と診断した。中心静脈栄養,プレドニゾロン50mg/dayによる治療を開始した。治療開始後,解熱,腹痛の改善,下痢回数も減少した。入院時は全く会話がない状態であったが,病態改善と伴に医療スタッフおよび家族と会話をするようになり現在では,外来にも1人で通院している。ひきこもりの原因がクローン病であった症例と考えられた。
著者
上山 浩也 松本 健史 永原 章仁 八尾 隆史 渡辺 純夫
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.1169-1177, 2016 (Released:2016-06-20)
参考文献数
28

筆者らが提唱した胃癌の組織亜型・胃底腺型胃癌,Gastric adenocarcinoma of fundic gland type(chief cell predominant type),GA-FG-CCPは非常に稀な腫瘍であるが,近年,日本全国の施設で発見され,海外からも報告されるようになった.しかし,胃底腺型胃癌の診断や治療の経験が無い場合,一般的には内視鏡診断,病理診断は比較的困難と考えられ,最終的には消化管専門病理医に病理学的に確定診断されるのが現状である.したがって,内視鏡医においては胃底腺型胃癌の臨床病理学的特徴を理解することに加え,通常内視鏡で胃底腺型胃癌を疑う所見を見落とさないことが重要であり,胃底腺型胃癌を疑う病変を生検した場合には的確な情報を病理医へ伝える必要がある.本稿では,胃底腺型胃癌の臨床病理学的特徴と現状での内視鏡的特徴を説明した後,胃底腺型胃癌のNBI併用拡大内視鏡を含む内視鏡診断のポイントについて言及する.
著者
赤澤 陽一 上山 浩也 永原 章仁 中川 裕太 松本 紘平 稲見 義宏 松本 健史 今 一義 八尾 隆史 渡辺 純夫
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.111, no.10, pp.1968-1975, 2014-10-05 (Released:2014-10-05)
参考文献数
22

66歳女性.上部消化管内視鏡で体上部後壁に17 mm大の胃粘膜下腫瘍(SMT)を認め,PET-CTで体下部大弯に別病変として30 mm大のFDGの集積を認めた.CT gastrography(CTG)では上記検査で指摘し得なかった8 mm大のSMTをさらに診断できた.病理組織診断ではGIST,神経鞘腫,壊死組織とそれぞれ異なる組織像であった.CTGが胃SMT診断に有用であった貴重な症例であったため報告する.