著者
松本 浩幸 柄本 邦明 今井 健太郎 高橋 成実
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_319-I_324, 2020 (Released:2020-11-04)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究では,リアルタイム津波検知手法の高度化のために,台風接近時に観測された海底津波計データを精査して,地震にともなう津波との相違点を明らかにした.台風接近時と地震にともなう津波発生時では,観測波形の卓越周波数の特徴が異なることが判明した.すなわち,台風接近時には広帯域にエネルギーが分布するのに対し,地震にともなう津波発生時には低周波のエネルギーが卓越する.次に,微小振幅波理論にもとづくカットオフ周波数で津波を検出するリアルタイムフィルタを設計し,海底津波計の近傍で発生した地震に適用した.検出した津波は数値計算と整合し,設計フィルタの妥当性を検証した.ただし,台風接近時にはうねり成分が含まれることから,うねり成分を除去するカットオフ周波数の検討が必要であることを示唆する.
著者
松本 浩幸
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、沖合の深海底に設置された水圧式津波計からのリアルタイムデータを有効利用するため、観測データに基づく知見を整理した。水圧式津波計について、海底設置前に実施した室内実験ならびに現場観測による長期安定性評価の結果、室内実験で確認されたドリフトは、海底設置後も継続して観測されることが分かった。また2011年東北地方太平洋沖地震(M9.0)ならびに三陸沖で発生した地震(M6.9)による津波について、水圧式津波計データを近傍の海底地震計データと併せて精査した。水圧式津波計に含まれる擾乱を発生させる要因を分析し、震源近傍でも適切なフィルタを適用すれば津波を抽出できることを示した。
著者
松本 浩幸 三ヶ田 均 大町 達夫 井上 修作
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.281-285, 2004-10-08 (Released:2010-06-04)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

本研究では, 津波地震の発生原因が「断層面上のゆっくりとした断層破壊」と仮定して, それに伴う「ゆっくりとした海底面変動」が津波を引き起こす過程および伝播の特性を数値計算によって検討した.ライズタイムが100s程度であれば断層破壊の影響は無視でき, 静的変位から予想される津波と同程度の津波が発生する. また, ライズタイムが500sのゆっくりとした海底面変動でも水塊移動を引き起こし津波が発生することを示した. ただし, 津波の波高が小さくなり, 周期が長くなる点は従来の予測とは大きく異なる.本研究は, ゆっくりとした断層破壊による地震津波に対しても, 沖合観測によって早期に津波を検知できることを示唆している.