著者
福井 博一 景山 幸二 松本 省吾 松本 省吾
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

根腐病抵抗性の4倍性Rosa multifloraと根頭がんしゅ病抵抗性をのPEKcougelを交配し、複合抵抗性台木の育成を目指した。得られた種子から胚を摘出して胚培養を行った。遺伝子マーカーを用いて交雑後代の検証を行った結果、3個体のF1個体が得られた。これらのF1は根頭がんしゅ病と根腐病に対して高い複合抵抗性が確認できた。接木親和性検定の結果、' F1 No.1'、' F1 No.5'が台木として有望であった。
著者
和田 雅人 小森 貞男 松本 省吾
出版者
独立行政法人農業技術研究機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

1)リンゴ単為結実品種は花器官変異を持っており、花器官形成遺伝子MdPIの発現が欠損していた。しかし本研究で、このMdPI遺伝子の発現組織、発現制御を解析した結果、花器官変異の説明は出来るが単為結実とは直接結びつかないことがわかった。MdPI遺伝子の機能は他の植物のPIホモログのものとよく似ており進化的な保存性が高いことも分かった。2)MdPI遺伝子が転写調節遺伝子のMADS遺伝子ファミリーに属しているためMdPIの発現抑制により発現に影響を受ける遺伝子を探索した。同じ花器官形成遺伝子のホモログMdTM6、MdMADS13のクローニングに成功した。またこのMdMADS13の発現が単為結実品種で減少し、かつ発現組織も結実と関与する子房や胚珠で観察され、単為結実と関与することを示唆した。3)正常品種のMdPI、MdMADS13など単為結実に関与する遺伝子の機能を調べるために、これらの遺伝子発現の抑制、または促進した組み換え体リンゴの作出を行った。これまでのリンゴの形質転換効率は非常に低いものであったが、本研究では形質転換法や転換体の培養法、形質転換に適した品種の選抜を行うことで、これまでより数十倍高い形質転換効率を持つ系を確立することに成功した。4)MdPIのアンチセンス、またはサイレンシングベクターを組込んだ組換えリンゴの作出に成功した。またMdMADS13のアンチセンスベクターを導入した組換え体リンゴ、さらにMdTM6のアンチセンスベクターを導入した組換えリンゴの作出に成功した。5)これら組換えリンゴが開花、結実して初めて導入遺伝子の機能が解析できるため、早期開花組換えリンゴを作出し、2ないし3年で開花することに成功した。
著者
松本 省吾 小森 貞男 北原 健太郎 今津 里美 副島 淳一
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.236-241, 1999-03-15
被引用文献数
3 30

リンゴ(Malus x domestica Borkh.) 13品種と'恵'後代10個体のS遺伝子型を, S複対立遺伝子群に特異的なPCR-RFLP解析法により同定した.また, 本解析法により, 'ガラ', 'ふじ'のS遺伝子型を再確認した.'金星'および'きざし'のS遺伝子型は両親から予想されるいずれの遺伝子型とも一致しなかった.'金星', 'きざし'の作出には, それぞれ, S_9, S_3遺伝子をもつ花粉親が用いられた可能性が示唆された.'あかぎ', 'つがる', '陽光'は花粉親が不明であるが, それぞれ, S_7, S_7, S_9遺伝子をもつ花粉親が作出に用いられたと考えられた.自家和合品種'恵'のS遺伝子型はS_2S_9と同定され, 両S遺伝子上に変異は見られなかった.'恵'とS遺伝子型の異なる'千秋'(S_3S_9)の正逆交雑により種子形成が見られたことから, '恵'の雌ずい, 雄ずいともに正常であることが判明した.一方, '恵'と同じS遺伝子型である'レッドゴールド'または'金星'との正逆交雑では全く種子形成が見られなかったことから, これらは, S遺伝子型に基づく不和合性を示したと考えられた.これらの結果から, '恵'の自家和合性はS対立遺伝子群の変異によって獲得されたものではないことが示唆された.