著者
松本 美枝子
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.206-214, 1988 (Released:2007-07-05)
参考文献数
21
被引用文献数
2

富山県等においてハクサイの主脈や葉脈に多数のゴマ状の黒色斑点の発生が認められた. この症状はゴマ症と呼ばれ, 発生の激しい場合は市場価格が著しく低下する. しかしゴマ症発生とその防止に関する報告は少ない.本報告ではまずハクサイ生育中のゴマ症発生の特徴を調査し, さらに発生部位とその周辺を形態学及び組織化学的に観察した.1. ‘ひばり’や‘耐病60日’に認められるゴマ症の発生は, その現象から2タイプに分けられた. タイプ1は未成葉で発生し, 初期生育が異常促進されることと密接な関係があった. タイプ2は成葉で発生し, 結球重に対する外葉重の割合の低下が関係していた.2. 形態学的には, 斑点発生に先だち, まず細胞内顆粒の肥大が認められ, その後細胞壁が褐変した. この細胞壁の褐変は, 細胞内顆粒や核の肥大と共にさらに拡大し, 周辺には原形質分離細胞が認められた.3. 組織化学的には, 斑点発生部位にクロロゲン酸の存在とポリフェノールオキシダーゼの活性が認められ,その周辺にポリフェノールの存在とパーオキシダーゼの反応が認められた.4. 褐変細胞の顆粒周辺に亜硝酸の分布が認められ, 細胞内顆粒の肥大が認められる部分と一致した.
著者
松本 美枝子
出版者
富山県農業技術センター
巻号頁・発行日
no.11, pp.1-92, 1991 (Released:2011-03-05)
著者
松本 美枝子
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.345-352, 1990
被引用文献数
1

ハクサイにおける,ゴマ症発生と基肥窒素施用量(10a当たり10,20,30kg)の関係を体内成分の面から検討した.基肥窒素施用量の増加に伴い生育が促進され,ゴマ症の発生も増加した.基肥窒素30kg施用区でとくに発生が著しかったが,10kgおよび20kg施用区であっても生育が促進された場合は発生が多くなった.この発生株ではNO_3-Nおよびαアミノ態窒素濃度が上昇し,糖濃度は逆に低下する傾向を示した.また,機関別体内成分とゴマ症発生の関係では,葉柄よりむしろ葉身中でのNO_3-Nおよびαアミノ態窒素濃度の蓄積が発生を助長した.これらの事実から,ゴマ症の発生を防止するためには,基肥窒素施用量を20kg以下にすることが必要と考えられた.
著者
松本 美枝子
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.206-214, 1988
被引用文献数
2

富山県等においてハクサイの主脈や葉脈に多数のゴマ状の黒色斑点の発生が認められた. この症状はゴマ症と呼ばれ, 発生の激しい場合は市場価格が著しく低下する. しかしゴマ症発生とその防止に関する報告は少ない.<br>本報告ではまずハクサイ生育中のゴマ症発生の特徴を調査し, さらに発生部位とその周辺を形態学及び組織化学的に観察した.<br>1. &lsquo;ひばり&rsquo;や&lsquo;耐病60日&rsquo;に認められるゴマ症の発生は, その現象から2タイプに分けられた. タイプ1は未成葉で発生し, 初期生育が異常促進されることと密接な関係があった. タイプ2は成葉で発生し, 結球重に対する外葉重の割合の低下が関係していた.<br>2. 形態学的には, 斑点発生に先だち, まず細胞内顆粒の肥大が認められ, その後細胞壁が褐変した. この細胞壁の褐変は, 細胞内顆粒や核の肥大と共にさらに拡大し, 周辺には原形質分離細胞が認められた.<br>3. 組織化学的には, 斑点発生部位にクロロゲン酸の存在とポリフェノールオキシダーゼの活性が認められ,その周辺にポリフェノールの存在とパーオキシダーゼの反応が認められた.<br>4. 褐変細胞の顆粒周辺に亜硝酸の分布が認められ, 細胞内顆粒の肥大が認められる部分と一致した.
著者
松本 美枝子
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.345-352, 1990-08-05 (Released:2017-06-28)
被引用文献数
1

ハクサイにおける,ゴマ症発生と基肥窒素施用量(10a当たり10,20,30kg)の関係を体内成分の面から検討した.基肥窒素施用量の増加に伴い生育が促進され,ゴマ症の発生も増加した.基肥窒素30kg施用区でとくに発生が著しかったが,10kgおよび20kg施用区であっても生育が促進された場合は発生が多くなった.この発生株ではNO_3-Nおよびαアミノ態窒素濃度が上昇し,糖濃度は逆に低下する傾向を示した.また,機関別体内成分とゴマ症発生の関係では,葉柄よりむしろ葉身中でのNO_3-Nおよびαアミノ態窒素濃度の蓄積が発生を助長した.これらの事実から,ゴマ症の発生を防止するためには,基肥窒素施用量を20kg以下にすることが必要と考えられた.