著者
豊田 智規 倉島 巧 藤山 泰三 佐々木 泉 宮沢 和之 清水 秀樹 松村 正人 古田 拓也
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.108-113, 2011

ヘアスタイリング剤は,その時代の髪型やファッションの流行に合わせ,さまざまな剤型の変遷をたどってきた。これらヘアスタイリング剤は一般的に固定力とアレンジ力の2軸で評価されるが,この2つの因子は背反事象であり,両立は難しい。われわれはこの課題を解決するため,粘着性を特徴とするポリアクリレートクロスポリマー-3 (Polyacrylate Crosspolymer-3)を開発した。ビニル系,アクリル系のポリマーに代表される従来のヘアスタイリング剤用のポリマーは,スタイルを保持することを目的として設計したため,固定には長けているが,アレンジや再整髪が難しい。そこでわれわれは,従来ヘアスタイリング剤で「べたつき」として認識されてきた「粘着性」をあえて発現させることで,1 つのポリマーでアレンジ力と固定力との両立を試みた。ポリマーのガラス転移点 (Tg)を低く設計すること,架橋部位を導入することにより,粘着性を発現させることができた。このポリマーを用いることで,新しいスタイリング剤の開発が可能となった。