著者
宮沢 和之 金田 勇 飯塚 直美 梁木 利男 植村 雅明
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.301-308, 2003
被引用文献数
1

毛髪にハリコシを付与する方法として毛髪自体の育成を助ける生物学的アプローチと, 外部からある基剤を塗布して補強する物理的アプローチが考えられる。前者は軟毛の悩みを根本的に解決できる可能性があるが, 効果が得られるまでに長期間を要する, 効果に個人差がある, などの課題がある。一方, 後者は即効性はあるものの通常洗髪などにより効果が失われるなど, 持続性に乏しいため毎日の適用が必要となる。そこで即効性に優れ, しかもその効果が長期的に持続するハリコシ向上トリートメントの開発を目的として検討を行った。本基剤に求められる基本的条件として, 1. 優れた耐水性, 2. 1本1本の毛髪を独立してコートできること, の2点が挙げられる。そこで耐水性の付与を目的としてアルコキシシランの縮合反応によるネットワーク形成を利用し, 極性をコントロールすることで毛髪への付着性を向上させ, 1本ずつの毛髪を均一な皮膜でコーティング可能な基剤とした。さらに毛髪上に形成される皮膜の強度, 平滑性を検討し, 優れたハリコシ付与効果と良好な使用性を併せ持つへアトリートメントとすることに成功した。
著者
豊田 智規 倉島 巧 藤山 泰三 佐々木 泉 宮沢 和之 清水 秀樹 松村 正人 古田 拓也
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.108-113, 2011

ヘアスタイリング剤は,その時代の髪型やファッションの流行に合わせ,さまざまな剤型の変遷をたどってきた。これらヘアスタイリング剤は一般的に固定力とアレンジ力の2軸で評価されるが,この2つの因子は背反事象であり,両立は難しい。われわれはこの課題を解決するため,粘着性を特徴とするポリアクリレートクロスポリマー-3 (Polyacrylate Crosspolymer-3)を開発した。ビニル系,アクリル系のポリマーに代表される従来のヘアスタイリング剤用のポリマーは,スタイルを保持することを目的として設計したため,固定には長けているが,アレンジや再整髪が難しい。そこでわれわれは,従来ヘアスタイリング剤で「べたつき」として認識されてきた「粘着性」をあえて発現させることで,1 つのポリマーでアレンジ力と固定力との両立を試みた。ポリマーのガラス転移点 (Tg)を低く設計すること,架橋部位を導入することにより,粘着性を発現させることができた。このポリマーを用いることで,新しいスタイリング剤の開発が可能となった。