- 著者
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中山 雄介
大江 秀明
松林 潤
余語 覚匡
鬼頭 祥悟
花本 浩一
北口 和彦
浦 克明
平良 薫
吉川 明
石上 俊一
田村 淳
白瀬 智之
土井 隆一郎
- 出版者
- 一般社団法人 日本膵臓学会
- 雑誌
- 膵臓 (ISSN:09130071)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.5, pp.613-618, 2011 (Released:2011-11-07)
- 参考文献数
- 15
- 被引用文献数
-
1
症例は42歳,女性.冷感とふるえを主訴に近医にて精査されたところ,腹部CTで膵尾部に8mmの腫瘤を認め,膵インスリノーマが疑われた.選択的動脈内カルシウム注入法にて,脾動脈刺激でのインスリン値の上昇反応を認め,膵尾部のインスリノーマと診断した.脾温存脾動静脈温存膵尾部切除術を行ったところ,膵尾部の腫瘤は肉眼的に副脾であり,術中超音波検査で副脾以外に腫瘤を同定できなかったために,(1)脾動脈領域の微小インスリノーマの存在,(2)膵島細胞症の可能性を考え,脾動脈領域を網羅する体部の追加切除を行った.病理組織学的に,膵島細胞症と診断され,また膵尾部の腫瘤は膵内副脾と診断された.術後,低血糖症状は消失した.成人発症の膵島細胞症は稀であり,さらに膵内副脾を合併した報告は今までにないが,インスリノーマと術前診断した場合でも,膵島細胞症を念頭に置くことで,適切な治療が可能になると考えられた.