著者
松田 千登勢 長畑 多代 上野 昌江 郷良 淳子
出版者
大阪府立大学
雑誌
大阪府立大学看護学部紀要 (ISSN:18807844)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.85-91, 2006-03-01

本研究の目的は認知症高齢者をケアする上で,看護師がどのような感情を抱きながら関わっているのかを明らかにし,サポートの視点を見出すことである。介護老人保健施設,老人認知症専門病棟,特別養護老人ホームで重度の認知症高齢者をケアする看護師9名を対象に,研究の同意を得た上で,半構成質問紙を用いた面接調査を行った。その結果看護師の感情として,1)「なんでそんなことするの」という怒り,2)認知症高齢者の言動への困惑,3)言動に対する対応への困惑,4)身体症状の判断への自信のなさ,5)自分のケアを評価できない不安,6)自分の思うケアができないジレンマ,7)責任の重さへの不安,8)ケアへの達成感のなさの8つが明らかになった。
著者
小笠 幸子 坂本 雅代 羽山 由美子 荒木 孝治 森川 英子
出版者
大阪府立大学看護学部
雑誌
大阪府立大学看護学部紀要 (ISSN:18807844)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.77-84, 2007

本研究の目的は,患者アドボカシー相談活動における相談者と相談対応者の関わりのなかで,対応者の援助内容と相談者のエンパワメントの形成過程について明らかにすることである。過去48事例の相談記録の中から,対応者が認識したエンパワーされたと考える相談者のポジティブな変化のみられた22事例を対象に内容分析によるカテゴリー抽出を行った。その結果,対応者の"理解・受け止め""問いかけ・振り返り""提案・指示""情報提供""支持""助言・指導"など6つの援助を通して,"相談者自身が気持ちを表出する""気持ちが落ち着く""問題の整理と意識化""問題解決方法を考える""問題解決行動への意思決定"の5つの局面でエンパワメント形成が認められた。
著者
趙 傑剛 青山 ヒフミ 羽山 由美子
出版者
大阪府立大学
雑誌
大阪府立大学看護学部紀要 (ISSN:18807844)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.85-91, 2007

本研究は中国における看護系大学の兼任教員がどのような環境におかれているのか,どのように専門的発達に向けて取り組みをしているのかを明らかにすることと,兼任教員の専門的発達を支援するための示唆を得ることを目的とする。中国都市部にある四つの大学病院に所属する兼任教員14名を対象とし,半構成的質問による面接法を実施した。その結果,【技術的熟達者志向の教育背景】,【看護師として満足の得られにくい臨床現場】,【整えられていない教員養成教育体制】,【看護教育に従事することによるほこり】,【教員として未熟であるという認識】,【教育実践における試行錯誤】,【教育実践への支援体制の不備による困惑】,【専門的発達における自助努力】,【専門的発達への支援体制の不備による困惑】,【専門的発達への願望】の10カテゴリーが抽出された。これらのことにより,兼任教員への支援にあたり,教員に関わる支援体制の整備とともに,現状に基づき,且つ兼任教員の専門的発達に繋がる継続教育プログラムの開発が必要であることが示唆された。